主体性を身近に感じられた話

住人

8月上旬

暑さ厳しい長野市に、僕は朝から県立長野図書館にいた。

Oさん(仮)と待ち合わせをしていた。

特に目的が合ったわけではない。

なんか話しようぜーぐらいな勢いで僕から声をかけた。

迷惑も良いところだったと思う。

時間になって、Oさんが見えた。

相変わらずおしゃれな服装。

主に話したのは自己肯定感について、だったと思う。

僕が前回おどりばにあげた「自己肯定感備忘録」を元にした話題だった。

それ自体はとても面白かったが、今回の主題はそこではない。

ある程度話終わった後、彼が「これでコーヒー淹れていいですか?」と。

一応事前に聞いてはいた。

彼は自分でコーヒーを淹れるのが好きだそうだ。

県立長野図書館にはキッチンスペースがあって、ちょっとした調理ならできるようになっている。そこでコーヒーを淹れてくれるとのことだった。

コーヒーを淹れる様子は見ていて楽しい。

ワクワクしながら様子を見ていた。

粉を計って、お湯の温度を見て、コーヒードームを崩さないように慎重にお湯を注ぐ。

辺りにコーヒーの良い香りが広がった。

話を聞くと、今度ここで彼主催の哲学カフェをやるとのこと。

そこでコーヒーを淹れるから、そのデモンストレーションをやりたいと。

なるほど。

おしゃれな小さいスケッチブックに書かれた「イキナリコーヒー」の文字。

「イベントとかにひょいと出てコーヒー淹れられれば良いかなって」

ほうほう。なるほど。

話している間に、小めの紙コップに5杯分コーヒーができた。

試しに飲んでみると、コーヒーの酸味と苦みが広がった。おいしいコーヒーだった。(語彙力)

「誰か来ないかな-」

近くでは勉強をしている学生や、目の前20人ぐらいの人がイベントに参加していた。

「イベントの主催者に声をかければ人が来るんじゃないですかね?」

ぼそっと言った。

「あ、そうかもですね」

早速主催者に声をかけにいくOさん。

(積極的だなぁ・・・)

コーヒーを飲みながらその様子を見る僕。

案の定、休憩時間に人が何人も来た。

始めに用意していた4杯はすぐになくなり、急いで淹れるも、20分ぐらいはかかる。

哲学カフェ(看板に日付等を書いてあった)ってなんですか?いつもここでやってるんですか?と質問が多く来た。

彼は急に増えたコーヒーを淹れるのに追われていて、とても応えられる様子ではなかった。

無意識に、体が動いていた。

哲学カフェの説明をするさらみ。

いつもはやってなくて、当日のデモなんですよ。良かったら来てください!

コーヒーとの間をつなぐ。

コーヒーが出来て、皆が飲む。

「おいしい!」と口々に歓喜の声があがった。

少し落ち着いて、カウンターのようになっているところで、お客さんと話をするOマスター。

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なんか、このひとときが、心地よかった。

「ごちそうさま」「おいしかったよ」とイベント終了時に声をかけて帰って行く人たち。

2人で片付けをしている時、

「あの、もし良かったら当日手伝っても良いですか?」

なんて言葉が自分の口をついていた。

なんか、面白かった。

Oさんが何かをやっている横で、サポートしている感じが。何かをやっている感じが。

なんか、良かったんだ。

「手伝っていただけるのなら嬉しいです!今日もすごくありがたかった。こちらからお願いしたいぐらいです!」

Oさんは満面の笑みでそう応えてくれた。

言われたことをこなすだけで精一杯だった自分。

誰かと何かをしようなんて力不足。迷惑をかける。

こんな気持ちがあって、必要最低限にしていた。

でも、コーヒーを淹れる彼がかっこよかったのと、コーヒーを介して誰かと深い話をするというのがすごく面白く感じた。

好きなことの見つけ方、なんか少しつかみかけてるのかもしれない。

【宣伝】

8月28日水曜日 18:00~20:00

県立長野図書館3階にて

参加希望の方はこちらに「氏名(ニックネーム可)」をお知らせください。

team.pilot09020906@gmail.com

sarami

生き意地の汚い人生を 送っています。

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  1. しえさんしえさん

    「好きなことの見つけ方、なんか少しつかみかけてるのかも」
    素敵。ひとは、きっと人との関わりの中で好きなことや関心ごとが見つかるのかもなーなんて思います。

    それはそれとして、Oさんのコーヒー飲みたーい!

    • saramisarami

      しえさん
      コメントありがとうございます!

      自分の好きなことをやればよい、ってたくさんの人に言われてきて、そして悩んでいました。
      好きなことって…なに?
      自分が得意なこと?あれはだめだしな…これもダメだしな…。
      結局「何かあったらどうする?」っていうもう一人の自分が自分のお腹の臓器を掴みながら言うんです。
      今まで動けなかったです。
      でもしえさんに出会え、更にいろいろな人に会って、「そんなん知るか。動いて面白いこと見つけてやろう」ってなったんです。
      ありがとう。

  2. Clara/くらら

    珈琲の人と人を繋げる力だったり、時間を愛おしくさせる瞬間が好きです。

    • saramisarami

      くららさん
      コメントありがとうございます。

      何かそういうパワーが珈琲にはあるのかもしれませんね。
      不思議です。