12月(2)

住人

友人の家にいる時、ゴキブリが出ました。ごきげんよう、と友人は挨拶していました。

ゴキブリっていう単語を聴くと以前住んでいたシェアハウスのことをたまに思い出します。

よくゴキブリが出ていたので。

シェアハウスのエピソードを書きます。

あるシェアハウスに、皿を洗わない人がいました。

皿を洗う気はさらさらないんです。

どんなに周りが「洗えよ」と言っても洗わないんです。

どんなに周りが「まじで、洗えって」と言ってもです。

彼の使った皿でシンクは満たされ、そして台所は機能不全になります。

なので、彼以外の誰かが彼の使ったお皿を洗っていました。

私も洗ったことがあります。

初めは「なんとかしてほしいな、直してほしいな」と思っていましたが、本当にどんなに周りのハウスメイトが「おい、まじで洗えよ、まじで、迷惑だからさ」と言っても洗わずにギターを弾きに行く彼を見ると、なんだか彼をそうせしめている裏の理由があるんじゃないかと空想に耽りました。そっちの方が面白いから、勝手に色んな設定を立てました。

彼は洗剤アレルギーだ。と仮説を立てる。が、すぐに思い直す。彼の柔軟剤の匂いは強烈だ。洗剤アレルギーではないか。

もしかしたら、彼が皿を洗ったら何か大変なことが起こることを彼は知っていて洗えないんじゃないか。時をかける皿洗わない男説。

もしかしたら、彼の家庭ではお皿を洗う文化がなかったのかも知れない。ならば私たちが彼の文化に合わせるべきかも知れない。食中毒になりそうだけど。これこそシェアハウスの醍醐味、異文化交流。

もしかしたら、お皿は一回使ったらもう使えない、使い捨てだと思っているんじゃないか説。いや、いくらなんでも周りが再利用していることに気づくか。

みんな言いたい放題言っていました。

彼は相変わらず洗いませんが、みんな彼に期待をすることをやめて、彼の分の皿も洗っていました。小社会です。1人はみんなのために、が抜けているけど。みんなは1人のために。

そんなある日、(多分、続く)

忍田 広昌

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