孤独を感じる、ときのはなし

私は、こんなにくるしいときでも、誰からも気づかれないくらい自然に笑える人間だ、と気づいたとき。

相談しようと思っても、友人の顔を見た途端、冗談しか言えなくなってしまうとき。

涙で画面がぐしゃぐしゃになっていても、元気だよ!!と絵文字つきで返信できたとき。

ナンパを振り切れなかったとき、本当はこわくて仕方なかったのに、強がってしまったとき。

夜道がこわい、と一言、と言えなかったとき。

ひどい吐き気でトイレから出られないのに、かかってきた電話には明るい口調で出られたとき。

深く傷ついたことに、気づかないふりをしたとき。

さみしいときにさみしいと、絶対に言ってはいけないと思いこんだとき。

人間なんて真っ黒だから信じないほうがいい、と言われたとき。

それでも人を信じようとしたら、バランスを崩してしまったとき。

概念的彼氏という存在を纏わなければ、外がこわくてコンビニすら行けなくなったとき。

満員電車のなかで息ができなくなって、トイレにしゃがみ込んで欠席連絡を入れたとき。

助けてくださいというラインを送れないまま、床で泣きながら夜を越したとき。

この孤独を理解できるのは自分だけだと悟ってしまったとき。

いま。

いままでも。

これからも。

ほんとうに?

ほんとうですか?

あなたは、どうですか。

しづく

夕暮れと夜の狭間で息をしています。 迷子のちっぽけな小説家です。

プロフィール

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