p22:ロンリー・ローリング

住人

もしかして私ってスタートラインにすら立っていないのでは?

そう気づいたのは、土曜日に「ぼっち・ざ・ろっく!」を見たのがきっかけだった。自分自身の能力は内心では認めていて、頭の中では大きなステージでチヤホヤされる自分を思い描けるのに、傷つくことを過度に恐れて自分を下げる発言や被害妄想を繰り広げる姿は、まさに私だ…と思った。

バンドやアカペラをしていたとき、ステージで素晴らしいパフォーマンスをして、MCを盛り上げて、みんなに歌うまいねって言われることを何度も妄想した。

でも現実はそうでもなかった。緊張してうまく歌えないし、MCはスべるし、わたしより歌がうまい人なんてそこらじゅうにごろごろいた。

記事を書くようになったとき、私の記事はすこし伸びた。もしかして、才能あるかな?ライターになれるかも。バズって、フォロワーが増えて、チヤホヤされることを妄想した。

でも現実はそうでもなかった。読んでくれる人はちらほらいるけれど、待てど暮らせどバズることはないし、フォロワーが増えてツイッターにたくさんリプがつくこともなかった。

テレビに出たときも、それがきっかけでファンが増えるかも!って妄想したけど、地元で噂になったりバイト先で声かけられたりしたくらいで、そんなに話題にもならなかった。数週間後に同じ番組に出た女の子はめちゃめちゃかわいいって話題になっていた気がする。

自分への期待値はすごく高い。でも「そうでもない」のが現実で。私は自分への期待値と現実のギャップに何度も殺されかけた。

そんな感じでぼっちの姿にはすごく共感したんだけど、それ以上に何度も「私はこの子とは違うな…」と思った。本質はすごく似ているけど、私はぼっちみたいになれなかった。今もなれていない。

彼女と私の一番違うところは「継続しているかどうか」だと思う。

彼女は友達がいなかったからそうするしかなかったのかもしれない。でも、どんな背景があったとしても彼女はギターを弾き続けた。父親に勧められて動画サイトにアップすることも続けた。だから上手くなった。

いま私が輝いていると思っている人も、私が自分を蔑んで現実から目を背けている間にずっと走り続けていたんだと思う。

私はスタートラインにすら立てていなかったということだ。それじゃあ、スタートラインに立ってみよう。というのがこの文章の主題。

こういうことを言うと、私の中にいるアンチうめこが「この歳になってまだそんなこと言ってるの?」みたいなことを言ってくるんだけど、ちょっと黙ってて。

やろうと思って、でも承認されないことを恐れて、期待通りのレスポンスが来なかったことにがっかりしてやめてしまったことがたくさんあるから、やってみようと思う。できれば続けてみようと思う。

ぼっちのようにチヤホヤされる妄想はやめられないし、きっとこれからも現実とのギャップに苦しむことになるんだろうけど、私は、私を諦めないでいたい。

転がる私にも、いつか朝が降るように。

うめこ

すごい人になりたかった人です。

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