もうこれ以上、大人になりたくない
たくさんの人からおめでとうメッセージをもらえる誕生日は好きだ。みんなにとってはいつもと変わらない、なんでもない日なのに、特別扱いしてもらえて、存在を肯定してもらえて、褒めてもらえる。
7月になると、心のなかで「誕生日まであと◯日」と1人でカウントダウンしてはそわそわしていた。誕生日がいつも待ち遠しかった。
わたしは今、歳を取るのが怖い。
20歳のわたしは大人の世界の仲間入りをした。
大人がたくさんいるイベントやコミュニティに1人で飛び込んでいった。
「若いのに偉いねえ、すごいねえ」と言われた。
たくさんの大人にかわいがっていただいて、わたしは満たされていた。
ふとしたとき、わたしは気づいてしまった。
「若いって得なのかもしれない。」と。
もしかして、かわいがってもらってたのは「さとちゃん」じゃない、「ハタチのさとちゃん」だったんじゃないか。
そう思ったら、怖くなった。
この1年間「ハタチ」というブランドに甘えていた。
同じことをするなら、より若い人がやったほうがすごいと思う。
失敗しても「若いから」って言い訳ができる。
若ければ若いほど、偉くてすごい。
歳上の方と自分を比べることはないけど、
歳下と自分を比べては劣等感を感じてしまう。
いつまでも最年少でいて、甘やかされ、かわいがられていたい。
若さという価値を失いたくない。
今も十分若いじゃんって言われるけど、いつかそうじゃなくなる日が来る。
それが怖くて仕方がない。
1年生の終わり、サークルで駄々をこねた。
「新入生なんか来なくていい。ずっと1番下で甘やかされて、かわいがられていたい。新入生が入ってきたら先輩は絶対にその子たちをかわいがるんだ。わたしたちのことなんて構ってくれなくなっちゃうんだ。そんなの絶対嫌だ。」
ハタチという響きを手放すのが嫌だった。
ハタチが終わったら、終わりだと思っていた。
ハタチにずっとしがみついていたかった。
21歳になるのが嫌だった。悲しかった。
寒い冬の日の布団でずっとぬくぬくしていたかったのに、
ついにその布団ははがされ、わたしは21歳になってしまった。
21歳になったら、20歳のときより成長していなきゃいけなくて、20歳のときより「すごい人」になっていなきゃいけない。
でも、20歳の自分よりすごくなれる自信は今、ない。
わたしは、去年以上に頑張らないといけない。
そうでなければ、「すごいわたし」は崩れてしまう。
みんなきっと「すごいわたし」を愛してくれて、
わたしも「すごいわたし」を愛していた。
「すごい」の定義はわからないけど、自分がすごいと思ったらすごいし、すごくないなあと思ったらすごくない。
「わたしはすごいんだぞ、がんばってるんだぞ。」
って思えているときの自分が好きだから、やっぱり自分のことを「すごい」って思えるのは大切だと思う。
2年と少し前、わたしは「JKブランド」を失い、
そして今日「ハタチブランド」までをも失った。
COACHのお財布も、CHANELのコスメも持っていない。
次に失うものは何だ、「大学生ブランド」か。
大学を卒業してしまったら、わたしを良く見せるための「ブランド」は何も残されていない。次に手にするブランドは、仕事や会社の名前だろうか。
タイムリミットはあと1年半。あらゆる手段を尽くして「大学生ブランド」のタイムリミットを延ばそうとしたけど、たぶん無理だ。
早く「わたし」という半永久的なブランドを確立しなければいけない。
時間がない。
でも、何をどうしたらいいのか、わからない。
21歳初日、わたしは焦っている。
わたしはハタチじゃないわたしも好きになれるだろうか。
みんなはハタチじゃないわたしも好きになってくれるだろうか。
20歳になったときも、19歳の7月17日と比べて確かに何も変わらなかったけど、お酒が飲めるようになったとか、何でも自分で決められるようになったワクワク感でいっぱいだった。
でも、そういえば初めて飲んだお酒の味は忘れてしまった。
もしかしたら「ハタチ」の価値なんて、そんな程度なのかもしれない。たくさん書いたけど、こんな焦りもすぐ忘れちゃうのかもしれない。
21歳も楽しいことがたくさんある1年だといいなあ。
お誕生日おめでとう、わたし。
「若さ」ってブランド、「20歳」ってブランド、「JK」ってブランド
そして、それらがなくなっていく感覚、すごくわかるなって読んで思いました!
自分もそうだったし、いまだにそうだから思うんだけど、それってどこか他人からの「すごい」っていう評価を気にしてる自分がいるんだよなー
って僕はそう思ってます。
それが悪いことってわけじゃないとは思ってるんだけど、僕はなんかそれがだめで、今は「自分が”楽しい”」って感覚を大事にかなーって思ってます。
いいか悪いかわからないけど汗
まだ20歳だもんねー
これからさとさんが成長していく中でどんな風に考えるのか、また教えてくださいね!
私、さとちゃんが何歳になってもさとちゃんのこと大好きだよ!
さとちゃんが毎日一つでも楽しい!って思えることがありますように…
ありがとう、そう言ってくれるmanakoちゃんがわたしも大好きだ!
さとちゃんが若いからすごいだなんて思ったことなかった!さとちゃんはさとちゃんだからすごいし、さとちゃんはさとちゃんだからすきなんだけど。
「わたし」という半永久的なブランドっていうフレーズすごくかちっときたので、意識しようと思った!ありがとう
実際私はさとちゃんの言うブランド全部なくなったし、会社ブランドも持ってないし、おそらく次失うのは20代というブランドなんだけど、もちろん焦りもあるけど、
でも、持ってないからこそやりたいことなんでもやろうって思えているかもしれない。それが、わたしというブランドを立ち上げるための行動なのかもなって思った。
何はともあれ、さとちゃんは何歳になってもさとちゃんだし、そんなさとちゃんがきっとずっとすきだし尊敬し続けると思うよ。
21歳おめでとう!大人じゃなくて、他でもない「さと」になれっ!