あの日の涙は道しるべ
僕の中学の時の記憶を書きたいと思います。
中学3年。時は、リーマンショック前。
手に職を付ける製造業が安泰と言われていた時でした。簡単なホームページを作ったり、タイピングを勉強したり、ものづくりも好きだった僕は、親と先生のすすめもあり、国立高専を目指して勉強していました。
「将来は好きな美術を生かしてクリエイティブな機械関係の仕事に就けたらな!」そんな風に思っていました。
ですが、その年の僕の受験した科は、倍率2.5倍。1.5倍ほどが平均のため、難しいものでした。
緊張しながらの初めての受験。
比較的簡単な問題は絶対に絶対にミスしないように。難しいものは時間配分を考えて、焦らずに、難しいものの中でも簡単なものから。
受験が終わると体はぐったりと疲れていました。
「駄目かもしれない…」
そんなネガティブな感情が頭の中を駆け巡りました。
そして迎えた結果発表日。
その日は登校日なので、担任の先生から結果が伝えられる予定でした。
どうなるんだろう?
どうなるんだろう?
そわそわと落ち着かない心。
授業終わりの夕方。
「…相談室へ」
担任の先生から呼ばれました。胸の鼓動が少しずつ波打ち始めました。
机が数個しかないがらんとした教室。
「ここへ」
座るように促され、2つ合わせた机に先生と向かい合うように座る僕。
受かっていますように
受かっていますように
受かっていますように
ドクドクと鼓動が高鳴り、不安を掻き消すように祈っていました。
じっとりと生暖かい汗が首筋をつたいました。
口をぐっと閉じた後に少し鼻で息を吸い、先生はつぶやくように話しました。
「残念ですが、結果発表に受験番号はありませんでした。」
落ちた…。
僕の中の何かが、ボロボロと崩れ落ちる感じがしました。
親の期待に応えられない。
人生はどうなってしまうのだろう。
自分はダメな人間。
様々な感情が渦巻いて、先生の前で涙が止まらなくなりました。
くしゃくしゃのハンカチとティッシュ。
ポツリ、ポツリと声をかけてくれる先生。
何より、こんな姿を見られるのが恥ずかしくてたまりませんでした。
どんより薄暗くなってからの帰り道。
僕は人生の先が暗い闇に覆われたような感じがしました。
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国立高専は受験が早いため、僕は公立の高校に行きました。
高校に入ってからは、美術部へ。昔から好きだった絵を思い切り描きました。「頭の中に湧く世界を自由に紙に表現することができる!」
描くことが楽しくて楽しくてたまりませんでした。
そして、頑張って描いた絵が県大会に進出!さらに、入賞。
文化部の全国大会「全国総合文化祭」へ進みました。
僕は今まで小さく押しつぶしていた感情が大きく膨らみました。
「やっぱり、美術をもっと勉強したい!!仕事にしたい!!!」
地元の長野美術専門学校に入学。併修制度で京都造形芸術大学も入学しました。専門学校に入ってからは毎日が楽しい刺激で溢れていました。
卒業してからは地元の看板制作会社のデザイン部へ。
「自分のデザインしたものがカタチとして街に残っていく!!」
毎日が充実していて、楽しい毎日。
大変なこともあるけれど、好きなことだからこそ続けられています。
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人生のターニングポイント。それは人それぞれだと思います。
「あの日、高専に受かっていたら…」
そうしたら、たぶん全然違う未来が待っていたのかもしれません。
今、思えること。「あの日、落ちていて本当に良かった。」
あの日の涙は道しるべ。
悲しい出来事はその後の人生を素敵なものに変えてくれることも多いのかもしれません。
あなたの人生のターニングポイントはどんな出来事ですか?
はじめまして。ゆうりと申します。コメント失礼致します。わたしも人生のターニングポイントは、受験に落ちたことですかね。まず高校受験でも第一志望はダメだったので、「ギャルになろう」とか意味のわからないことを考えていましたし、大学受験でも国立理系の学部に行きたかったけれど二次試験で落ち、短期大学の保育学科に進学するという…(笑)
化学が好きだったので、「わたしはずっと研究していきたい」と思っていましたが、人生って分からないですね(笑)
一浪して理系に行っていれば違う職業に就けていられたかもしれないと思いつつ、そうなっていれば、今のかけがえのない人たちとも、大好きな教え子たちとも出会えていなかったのか…と考えます。すると、やっぱり、保育士になって良かったなと思います(笑)
ターニングポイントに立っても、勇気を出して突き進んでいくことも大切ですね。
ゆうりさん、コメントありがとうございます!人生分からないですね!ほんとに。様々な選択と決断の中で、形作られていく人生は、まさに自分自身であって。お仕事頑張ってください^_^
「あの日の涙は道しるべ。」
こんな素敵な言葉があるのかと思いました。
思い返してみれば、
わたしの人生のターニングポイントにも涙という道しるべがあったように思います。
涙を流すというよりも、流さないことでターニングポイントになったというか。
涙を流すべき場面で流さなかった、いや、流せなかったなと。
わたしの人生のターニングポイントには涙以外の何かがあるかもとぼんやり思いました。
しえさん、コメントありがとうございます!!
涙意外にも、人生の中で、たくさんのターニングポイントがあるかもですね!
それぞれの人生は魅了的な物語を持っていると思います!!
当時、苦しかったことも、不思議と「あれで良かったんだ」と前向きに考えることができる日がありますよね。全てが糧になり、道は繋がっていると感じさせられる瞬間。今の自分が好き!と言う感じが伝わって、素敵な文でした。
コメントありがとうございます!!
過去になると、いい思い出になったり^_^
道は繋がっていく!!!まさに!!