みんなで生きる

住人

夢を、みていたような気がする。長い夢だ。それも、とても心地のいい。

昨日は、「小布施野外シアター」という劇の千秋楽だった。4ヶ月にもわたる稽古の末に臨んだ本番は、本当に、一瞬で終わってしまった。

今日、私はこれからアルバイトに行く。私の友人たちも、それぞれの職場や学校に向かったことだろう。昨日までの出来事は、まるで夢であったのかのように、各々が「いつもの生活」に戻っていく。

この4ヶ月は、私にとって、「稽古の時間」以外の意味も持っていた。大学生活に少しばかり余裕ができたからだろうか。自分について考えることが増えた。私はどうやって生きていきたいのか。私の生き方は、これでよいのだろうか…。

今回の劇での私の役どころは、特別目立つところではなかった。当初、私はそれを不満に感じているところもあった。でも、今では、この役どころにつけたことを、心の底から感謝している。

私が今までつくってきた演劇は、個人戦のところが多かった。自分のセリフを覚えて、自分で演じる。ただ、それが他の人とともに舞台に立つだけ。いつも、自分のことだけを考え、自分のことに集中し、自分と戦っていた。

今回の劇は、「みんなで」つくってきた。いつも、他人の息遣いを感じながら、全体の雰囲気に集中し、皆とともに、戦った。私が経験してきた演劇とは真逆のものだった。私は、あくまで全体の中の一部であり、特別なところは微塵もない。でも、それで、それでいいのだと思った。いつも、どこかで「特別には何かができない自分」「なんの特徴もない自分」におびえていた。誰かに「すごい」と思われなければ、誰にも愛されないのではないか。ここにいる価値などないのではないか。そんな気すらしていた。でも、そうではない。私は、「みんなの一部」でいられることに、とてつもない幸福を感じた。私自身は何もできなくても、「みんなの一部」として頑張ることはできた。そうして、それを、近くで見ていてくれた仲間が、精一杯支えてくれた。「みんなの一部」として、みんなのために動く。もしかすると、本来、人間はこうやって生きるものなのではないか。だれも特別ではないけれど、みんなで力を合わせて「特別」をつくる。その高揚感は、今までに感じたことのない喜びだった。

本当は、もっともっと書きたいことがあるのだが、バイトの時間が迫っているので手短に。

この4ヶ月で、鬱々としていた問いへの答えに、少し光がさしている。きっと、もうすぐわかる。きっと、もうすぐ、私は「私の生き方」を見つけることができる。そんな風に感じることができた2日間だった。本当に、本当に、ありがとうございました。皆さんのことを、心から大切に思っています。

しーちゃん

梅雨生まれの晴れ女。好きなものはぶたさんと抹茶。天敵は足の多い虫。趣味は映画鑑賞、演劇、細かい作業。

プロフィール

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  1. しえさんしえさん

    「私は、「みんなの一部」でいられることに、とてつもない幸福を感じた。」
    そんな幸福もあるんだと目から鱗が落ちました。
    それは一体どんな幸福なんだろうと想像するも「みんなの一部」でいられなかった私には上手く想像できなくて、でも、きっとそれはとても暖かいものな気がすると思いました。もしかしたら、この先いつかその幸福がわかる日が来るかも!

    そして、しーちゃんさんがもうすぐ「私の生き方」を見つけられる。そう感じてると書かれてて勝手にわくわくしました。「しーちゃんさんの生き方」をしーちゃんさんが見つけた時、どんな言葉を書かれるのか(もちろん書かなくても◎)そんなことを思ったりしました。

  2. t tatsu

    しーちゃんさん

    10号室、t tatsuです○

    私の生き方、を見つけられるように
    感じれたこと。すごく素敵だなと思います。
    まさに今回の自分の記事のテーマが
    わたし、とは何かに近いもの。
    直感でも、言葉にしづらくても、
    逆に明確に表現できるものだとしても
    しーちゃんさんが
    私の生き方、って言えるものを
    掴みかけているその様子にまた
    私もしっかり歩もうと、勝手に
    思いを馳せてしまいました。笑

    また記事を楽しみにしています!\(^o^)/