お仕事のおはなし

住人

今の僕の職場には、様々な経歴を持った人たちがいる。いろんな人が転職でやってきている。
民間企業の人事担当やコンサルタント、病院の臨床心理士、高齢者施設の介護士、精神保健福祉士、大学院で障害科学を専攻してた人もいる。
同期には作業療法士、生活保護ケースワーカー、高校教師、携帯会社の営業、カメラマン、雑誌編集者、調理師などと、本当にまあ個性豊かである。
その中に僕は「元市役所行政職員です(持っている資格は漢字検定7級とアロマ検定1級です)」と入り込んでいるわけであるが、やはり、周りの人たちと自分のいろいろな能力?文化?の違いに驚き、同時に自分の「できない部分」が浮き彫りになって辛いことも多々ある。

公務員時代の「優秀な人」というのは、「与えられた仕事の飲み込みが早く、何でも正確にこなせて安心して任せられる人」であった。
今の民間の職場の「優秀な人」は、「自分で考えて行動し言語化するのが早く、常に仕事の改善を考えている人」である。
(どちらも私見です。)
どちらも優秀であると考えるし、どちらが良い悪いとかはあまり考えないようにしている。組織が違えば求められる能力も違う。
しかし、僕はこれまで前者の優秀さを基準に仕事をして育ってきたせいか、今の職場では「ひえ〜あの人には敵わない・・・」「自分って能力ないんだなあ・・・」と、周りの人と比べ自信をなくすことが多い。

でもそのおかげで、自分はいったい何が得意で何が苦手なのか、何となくわかるようになってきた。今の会社はそれこそいろんな経歴の人たちが周りにいるおかげで、自分が広い社会の中でどんな人間なのか考えるきっかけになる。非常に恵まれている、ありがたや。。
今の仕事で、利用者(就職を目指す精神障害者)に対して、「自分の強みと弱みを考えよう」とテキストに沿ってしょっちゅう講義をしているのだが、自然と自分でもそれをやるようになった。

僕は、人と接する仕事は大好きだしたぶん得意なのであるが、人と常に接していることは苦手だということが分かった。基本的に、内向的なタイプだ。一人の時間がないと体力気力が回復しない。
また、1対多数の状態が非常に不得意である。目の前の相手としっかり向き合える状態でないと疲弊してしまう。
人と接することが得意か苦手か、という単純な基準だけでなく、「1対1ではどうか、1対多ではどうか」「常時がいいのか、適度にあったほうがいいのか、全く苦手なのか」「接する相手はお客さんなのか、職場の人なのか」「接する内容は交渉ごとなのか、傾聴なのか」など、掘り下げて考えられるようになった。
また、僕は自分の考えを言語化したり行動化することに即効性がない。しばらく頭の中でぐちゃぐちゃさせた後でないと動き出せない。それなので、現場ですぐに判断を求められたりする場面や会議がバンバン進んでいくような環境は苦手である。しかし、ぐちゃぐちゃ考えたあとの言語化力と行動力は高いと思っている。

他にもまあいろいろあるけれど、とにかく、自分の苦手な部分に詳細に向き合えるようになってたぶんよかったと思っている。
うちの職場は、その人の得意を活かして大事にし、苦手な面は全員でカバーする姿勢が非常に強い。
そういう支援をお客さんに向けてしているから、職員間でもなおさら徹底している。
いい環境で、いい経験をさせてもらっている。

soshi

1991年生まれ。長野市出身。 大学の専攻はジャーナリズム。休学し9カ国放浪後、地元市役所に入る。福祉部門に配属となり、障害者のソーシャルワークなどを行なう...

プロフィール

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