HENな人

17歳になる我が子の感受性がハンパない。YouTubeに夢中でケタケタ、テレビを観てゲラゲラ。流行の音楽に興味津々だし、話題の映画にも詳しい。好奇心旺盛。メイクやおしゃれにも余念がない。演劇を続けて3年ほど経つのだろうか。ボイトレにも近々行く様子で、青春しているなあと感じる。先日まで中学生だと思っていたのに、この一年でだいぶ変わった、だいぶ成長した。学校や社会に慣れるのに苦労していた彼女だが、高校のメンツにも恵まれたのかな。仲がいいクラスメイトがいて、しょっちゅうカラオケに行っている。
自分たちの子どもながら、助けてあげることは正直できない。彼女の人生だから、彼女が頑張るしかない。わたしたちは見守っていた。あたたかく祈っていた。幸い、良い方向へ進みつつある。娘自身もそのことに気づいている。自分の急*成長も実感。それはいいこと。それは嬉しいこと。そのまま、育て。
わたし自身は今年で50歳の大台に。それでも正月に実家に帰ったら、親にありがたい意味で《子ども扱い》されて、喜びだった。いつまで経っても子どもは子どもなのねえ。だから帰省した時くらいは甘えよう。話はさらに脱線するけれど、例えば飲食店、あるいはスーパーマーケットでわたしがお金を払おうとすると頑なに両親はそれを拒む。それでも払おうとすると怒り出すほどである。年金生活で苦しいはずなのに、頑張って払ってくれる、ありがたいこと。でも、こちらの好意(厚意?)なんだから素直に払わせてくれればいいのになーとも感じたり。ただ親の立場からすると、ごちそうして当然なのかも。生活が苦しいとか関係ないんだろうなと想像する。こちらが両親の好意に甘えなくてはならないのかもしれない。
話が逸れたから何を書こうとしていたのか忘れちゃったじゃない。ええと~、うん、そうそう、娘の感受性の豊かさを受けてからのことを書きたかったんだ。50年生きてきたわたしは淡々と日々を暮らしている。ふとした出来事で驚くこと、衝撃を受けることはなくなった。我が子は10代だからまだまだ感性が敏感。ちょっとしたことで感動しがち。うらやましい。とはいえ、年を取っていくことは悪いことばかりではない。経験があるから効率的に生きる術を身につけた。危険を察知して自分に災いが降りかかってきそうな予感がしたら、その事柄からそっと距離を置くことも可能に。安心安全の人生。落ち着いた生活。でも、それって退屈じゃない?! だなんて思ったりして、向こう見ずな10代の行動力や感動力に憧れたりするんだ。
今年に入ってから、しばらくそんなことを考えていた。いかに楽しく50歳を迎えられるかが今年の焦点だ。このままでは感受性は鈍くなっていくだけだろう……。そんなふうに思っていた矢先……。先日の3/15(土)に長野市にあるライブハウスのネオンホールで衝撃的な出逢いをしたんだ。HENという3ピースバンドとの遭遇、ファーストインパクト。その轟音とそれに反する静けさの表現にグイイイイイ~と胸ぐらを捕まれて。明と暗がはっきりしていてめちゃくちゃカッコ良かった。湧き出る衝動のままにプレイされる音の塊、一方で演奏の息をぴったり合わせなければ殺されるというくらいの緊張感に痺れた。なんというジャンルの音楽になるのかは説明がつかない。YouTubeにはハードコアインストバンドと触れられている。わたしからすれば音楽の力を借りた前衛的現代アートだと認識。
ライブではまったく喋らず、バンド名すらも言わずに進行された。ただただ大音量でバンドアンサンブルが鳴り(@動)、かと思えば息づかいが聞こえてくるほど、呼吸をハアハア乱しながら次にどう音を鳴らすか見計る一幕も(@静)あって、ワクワクヒリヒリしたんだ。(最後に「ありがとうございました」とは言っていた)この日の演奏は30分もしなかったんでないかと思うんだけど、衝撃は絶大で演奏の片付けをし終わったところを狙って、そそくさと彼らに近寄り、CDを購入。興奮して「カッコ良かったです」とすらも言えなくて、わたしよりも随分年下の彼らに対して恥ずかしいくらい緊張してしまった。2週間後、また長野市内のライブハウスで出演するようなので、足を運びたい。ライブ情報すら自らのSNSで発信していない様子なので、なかなか不親切なバンドであるが笑、なんとかその世界観に潜り込んで、情報を逃さず、見られる時はライブに行きたい。いくつになっても、わくわくできることがあるんだね。捨てたもんじゃないよ、なかがわよしの。そして人生。そんな自分の感性に驚いて、かつこれからのHENの3人には大きな期待を。そして何より「HENってバンドがなかがわさんにオススメだよ!」と教えてくれた知人に大*感謝ッス。17歳の娘にオススメしたいがまだまだ彼女には早いかな。年を取っているからわかる良さもあるよね~。〈了〉
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