ゴンドラに乗った

住人

ガタンゴトン、ガタンゴトン

まだ小さい時、ゴンドラに乗る事が好きだった。親戚の家が白馬にあり、昔はよく遊びに行っていて、その度に、親にゴンドラに乗せてもらっていた。重低音が鳴り響くゴンドラ乗り場の雰囲気が大好きで、ゴンドラに乗り込む瞬間はいつも胸を踊らせていた。

10年ぶりだろうか。久しぶりにゴンドラに乗りたいと思い立ち、白馬に向かった。ゴンドラ乗り場の建物の外観はかなり綺麗になっていた。ここも変わったんだなあと思いながら階段を上り、乗り場へと足を運んだ。乗り場の中は新しくなった外装からは考えてられないくらい昔と変わらず、古びたような内装で昔聞いた重低音が鳴り響いていた。その変わらない内装を見て、何だかホッとした。

ゴンドラは、昔と変わらず少し怖かった。落ちたらどうしようなんて事を考えてしまう。だけどそれ以上に、ゴンドラの音、そこから見える景色は昔と変わらず、僕をワクワクさせてくれた。

これまで生きてきて、様々な事が変わった。好きなもの、嫌いなもの、考え方、趣味、生活。そして自分自身も少しずつではあるけど変わっていっている。だけど、ゴンドラは相変わらず昔のままで、変わらない良さもあるんだ、という事を感じた。

その日の空は梅雨の時期だったけど快晴で、白馬村の景色が一望できた。心まで晴れ晴れしているようだった。

また来よう。僕は思った。

こーへい〆

無職のベーシスト 兼 愚痴聞き屋

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