小宇宙ぶどう
住人
ナイヤガラ。
ひと粒ひと粒に脈が通っていて、どこかの星のよう。
ひと粒の中におじゃましたら、種という名の宇宙人がいて、一人暮らしをされていました。部屋はまるで母体の中。守られていて、安心感がある空間でした。その宇宙人は母体に繋がったまま歩きまわったりする姿は見受けられない。
死んでいるのか生きているのか。
声をかけてみようと思って私は口を開いた。その瞬間、口の中にナイヤガラ空間が入り込んできて、ついには全てが口の中へ。
私がやっと声を出せたと思ったときには宇宙人と、しぼんだナイヤガラの皮だけになっていた。そこで始めて宇宙人に触れることが出来た。お家から出た宇宙人は跳ねたり転がったり、楽しそうに見えた。
本当のところ宇宙人は何を思っているのだろうか。
私が測れるのは彼の身長にすぎない。
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