ピカソはなぜすごいのか?
最近、東京藝術大学を目指す主人公を描いた、「ブルーピリオド」を読んでいる。
その中で、主人公が、子供の美術学校のサポートをする場面がある。
「ピカソってなんですごいの?なんであんなに高いの?」
無邪気な子供からの質問に、うまく答えられないという場面がある。
すごい理由ー。
それはたくさんの理由がある。
たくさんあるからこそ、答えづらい一つの理由かもしれない。
実際、僕も高校から美術部で、今も趣味で絵を描いたりしている。
そんな中で、友達や知り合いから何度か聞かれたこともある。
ちゃんと答えられなかったような気もする。
もう一度、自分の中でぐるぐるとその答えを探したくなった。
ーーー
パブロ・ピカソは生前、多くの作品を残した。
その数、約50,000点。
簡単なドローイングなども含めてだが、そんなに多くの作品を残した画家はいない。
幼少期から画家の父から絵の技術を習得し、大人のような描写力と表現力は、まさに天才だった。
写実から始まったピカソの画風は、
91年間という長い人生の中で、同じ人が描いたとは思えないくらいにコロコロと変化し続けた。
前に、しくじり先生という番組で、オリエンタルラジオの中田さんが、ピカソの解説をしていた。
ピカソは数多くの画風の作品を残した画家ー。
自分の好きなテイストを選んで楽しむことができる!
そんな内容の番組は新たな視点からの作品の見方を感じさせ、すごくすごく興味深くて楽しいプレゼンだった。
しかしー。
やはりピカソの作品は「よく分からない!」と一般の人が感じてしまう時代の作品が心に様々な感情を訴えかける。
ピカソは「キュビズム」という、色々な視点からの見え方を一つの絵にギュッと閉じ込めた。
一見すると「変」な絵だ。
「子供みたい」な絵だ。
ーなんでそんなにそれがすごいのか?
多くの人は思うかもしれない。
そこで考えたいことが、
絵の価値が大きくなる理由は何か、ということだ。
それは一言で言うと、
「新たな発明」だと思う。
絵画史を見てみると、写実主義だった絵の世界は、写真機の発明以後、画家たちは目で見た空気感や雰囲気を大事にする「印象主義」へと表現の仕方を変えた。
描かれた当時はほどんど売れなかったという、ひまわりで有名な「ゴッホ」も、今は名画として価値もすごく高い。
ピカソはそれまでの常識を覆す絵画のテイストと考え方を発明した。
絵画史に出てくる多くの画家と同じように。
それが一番のピカソの価値を高めているのは揺るぎない事実だ。
多面的に捉えた顔のパーツ。溢れ出す感情が豪快な「泣く女」
戦争の悲劇を描いた、躍動するグレースケールの画面「ゲルニカ」
直線で描かれた裸体がデザイン的色面を構築する「アヴィニョンの娘たち」
どれも革新的で魅力的だ。
絵画はいつも革新を求めている。
表現は未来を作り、歴史を伝える。
これからの芸術はどうなっていくのだろうか…?
ふと、今のアートを思う。
アートテロリスト「バンクシー」が、オークション会場で魅せた、シュレッダー事件。
サザビーズオークションで、約1.5億円(135万5555ドル)で落札された、NFTのデジタル作品。
アーティストは先進的で発明家だ。
混沌とした世界の中で、アート界はどんな形に変化していくのだろうか?
楽しみで仕方ない。
そして、僕もアーティストの端くれとして、模索していきたい。
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