創作と僕

住人

「すごい…。」
僕はポカンと口を開け、その場に立ち尽くした。
心がぐいっと動いた。
絵の中に吸い込まれる瞬間だった。

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高校3年の冬。高校の美術班だった僕。
違う高校の友達の校外展に行った。

信大の近くの信濃教育会館。
その絵は入口入ってすぐのところにあった。
「すごい…。」
たたみ2畳ほどある、100号の油絵。
一瞬にして心をグイっとつかまれた。

作品タイトルは「団欒」だったと思う。
冬のこたつ。おばあちゃんの家に集まった、家族親戚を描いたものだった。
情景はトランプのババ抜きをしている。
疑いめな表情や、幸せそうな表情。
様々な表情が生き生きと表現されていた。

「魂が宿っている。」
そんな風に感じた。
ディフォルメされた大きな顔と、リアルな顔の表現。
その技量の高さと、熱量に圧倒された。

何より、この絵を描いたのが、
同い年の友達であること。
それに、大きな衝撃を受けた。

僕は絵に大きな感動を覚えると共に、
自分も人の心を揺り動かすような絵が描きたい!

そう強く思った。

そして、その感情を、いつまでも心にとめておきたいと思った。

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あの日から9年。

僕は専門的に美術を学んで、様々な作品を創作してきた。
デザイナーとして仕事をしている今はイラストの仕事もある。

自分は、あの日の友達の絵みたいな、
人のここをグッと動かす創作ができているか?

どうだろうか??

でも、自分の感覚を大事に、一生懸命に取り組んできた。

あの日の自分が受けた衝撃のように誰か一人でも、僕の創作によって心を動かせれば…。
元気や希望を与えられたら…。

そう願って創作している。

11月の個展に向けて…。

個展「ロクガワトモヒロの不思議な世界展」詳細はこちら。
https://kerokunkun.hatenablog.com/entry/2019/09/28/133536

roku

「街をクリエイティブに彩る!」看板屋さんに勤めるデザイナーです。イラストが得意です。粘土で立体を作ったりもします。考えながら、悩みながら、楽しみながら、日々...

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