すごいみんなと、すごくないわたしの話

住人

ひとのいいところを見つけるのが得意です。

誰かと過ごしているとふとした瞬間に「この人、こんなところがすごいな。」と尊敬をするんです。

たとえば家族。

上の弟は春から好きな物事を突き詰めるために専門的な勉強をしにいきます。わたしにはやりたいことや好きなことがわからないので、それをしっかり見定めることができてすごい。

下の弟は小学校の頃から続けてきた剣道を、中学に上がって部活に入部したことで本格的にがんばり始めました。

1年生ながらスタメンを狙ったり、そのために自分の弱点を分析していたり。わたしは文化部(合唱部)だったので、みんなで作る作品がより良くなるためにはどうしたらいいのか、という頑張り方だったものだから、個としての強さを追求する姿はとてもかっこいいし、中学生のわたしにも今のわたしにもできないことだなと感じます。

父は海外で母語の違う部下と仕事をしています。イレギュラーな環境にもうまく適応しながら好きなものへのアンテナを張り巡らせていてすごい。母は保育士の仕事を毎日楽しんでしているうえに家のこともこなして、本当にこのポンコツ・ごみメンタル・生活力マイナス女ことわたしの母親か?とたまに疑います。

みんな、血の繋がった家族でさえ、わたしと違うところを持っていて、その違うところというのが軒並みすごい。

でも最近、「みんなすごい」というこの考えは「わたしが何一つすごくない」という最強に最低の自己肯定感を持っていることから生まれていることに気づいて、絶望しました。

休学が始まってからよりみんなのすごいところに目が行くようになったのはきっと、唯一みんなと並んでできていた「学校に行っている」という事実が最後の砦だったんだろうな。

なにひとつできてないわたしと違うから、相対的にみんなはすごい。みんなすごい、と思ったぶんだけ、わたしはすごくない、がわたしを苦しめる。

あの子は時間が守れてすごい。だってわたしにはできないもん。

あの人はやり抜く力があってすごい。だってわたしは何もかも中途半端だもん。

あの人は努力ができてすごい。だってわたしには根性がないからできないもん。

みんな、どこかすごいところがあってすごい。だってわたしには何もないもの。

最近、弾き語りのライブに出演させてもらうことが増えました。

ライブでは、自分で作った歌詞にありきたりなコード進行をのせてうたっています。

友だちやここおどりばに住むひとを誘って聞きにきてもらうんですが、みんながほめてくれて、とってもうれしい。

そしてこの間、おどりばの記事を読んだという高校の恩師にほめられた。

物書きになったらどうだ、って、大絶賛だった。とってもうれしかった。

でも、そんな言葉をもらってもまだ、自分はすごい、とは思えない。

すごいってなんだ。

わたしの思い描く、100点満点のわたしって、どんなわたし?

もし100点満点になったとして、それって本当にわたしなの?

一生こうしてぐるぐると生きていくのだろうか。満たされず、欲しがって、追いかけて、自分を責めつづけて。

でもそれがわたしなのかもしれない。おそろしい。

わたしの嫌いなすごくないわたし、が、誰よりわたしらしいわたしなのかもしれない。

早く楽になりたい。

おてあらい花子

鼻唄みたいな言葉と、呟きみたいな歌をこぼします。20歳です。

プロフィール

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  1. 三色団子

    人の良いところをたくさん見つけられて、自分で作った歌を発信できるあなたをとても尊敬しています。記事や歌をいつも楽しみにしています。

  2. うめこうめこ

    わたしは少なくともハナコちゃんのこと、すごいと思ってるよ。時々嫉妬をするよ。だからハナコちゃんのライブにはまだ行けないし、スラックでハナコちゃんが褒められているときすこしごきげん悪くなったし(性格悪くてごめんなさい!)、ハナコちゃんの書いてる文章は一呼吸置いてからじゃないと読めない。

    わたしさっきちょうど友達と熾烈な言い争いを繰り広げてさ、「生活面ちゃんとしてないのに居場所があってずるい(意訳)」って言われたんだよね。ハナコちゃんが苦手であろう「人に迷惑かけずにちゃんと生きる」こと、わたしも苦手だから、なんだろう、なんか、ハナコちゃんに対して抱いてるわたしの嫉妬って、その子が私に感じた「ずるい」と同じな気がしたんだ。

    時間守れないしドタキャンするし連絡不精なのに、SNSでコメント募ればたくさんレスポンスがきて、たくさん友達いて、後輩には慕われていて先輩や歳上の人には可愛がられていて、なんかいつも人に愛されてる感じで、めちゃめちゃずるいなって思う。

    だけどそれってハナコちゃんの才能でありすごいところなんだよね。人に迷惑かけても周りが許せちゃう才能。許せちゃうくらいハナコちゃんが周りに愛を注いでいるのかもしれない。

    私ももっと、周りに愛される人になりたいし、愛せる人になりたいなって思う。ハナコちゃんみたいにさ。

    さて。
    ハナコちゃんはどうしたい?

    今のままの自分を愛したい?
    それともダメなところをなおす努力をしたい?
    どっちなんだろう。

    がんばりたいけどがんばったら自分じゃなくなる気もする、みたいなジレンマが共感すぎて震えたよ。

    そのジレンマの先に、答えがあるのかな。
    おどりばの途中で、足踏みしてさ。
    見つかるといいね。

    応援してる。わたしのことも応援してね。

  3. t tatsut tatsu

    花子さん

    10号室、てぃーたつです。

    人のすごいところ、いいところを
    見つけるのが得意、っていうのはとても素晴らしいことだと思う。自分も割とそうかもしれない。
    でも、逆にそれは
    自分との対比をしてしまいがちだということに
    気づいてしまいます。

    自分では自分のことを
    すごくないと思いがちだけれど、
    その一方で
    そのすごくない自分自身を、すごい、
    と思う人もいる
    たとえばここにも。

    自分のすごい、は自分で認めてあげたいなと
    改めて思いました。
    他人から認められるすごい、を
    求めてしまうことはたくさんあるけれど。
    僕も、早く楽になりたい。

    てぃーたつ