若者/大人論争は終結し 何者問答は巡る
パートナーの勧めにつられて昨日から見始めたNetflix「FOLLOWERS」が面白い。登場人物の各世代の葛藤、世間からの目に対する認識、そして自身をどう捉えるか、蜷川実花らしい表現と色合いで在々と描かれている。配役とキャラクターががっちりはまっていて、登場人物の台詞に、役者自身の人生から写る魂が乗っている感じがあって、いちいち刺さってくるのもよい。
何者かを追い求める、何者でない若者世代と、世間に対しての何者らしさを獲得した先で、迫りくるライフステージとせめぎ合う大人世代。僕はいま、どちらに自分を投影しているだろうか。
先日、26歳になった。
昨年までは歳を重ねる瞬間をなんとなく待っていたりしたのだけど、今年はすっかり忘れていて。twitterのプロフィール画面に広がる風船を見て、日付が変わったことに気づいたくらいだ。あ、26になったわ。みたいな。
ちょうど1年くらい前からこの おどりば で綴りはじめたわけだが、その大半が年齢と環境の変化に対しての言葉であったように思う。
昨年4月に書いた 幸せでも死なない。 では、25歳を迎えたことに対しての戸惑いが綴られている。当時は、想像以上に長生きしていること、そしてその日々が彩り豊かに流れていることが不思議だった。
25歳を迎え、もうひとつ湧き上がってきたのが「僕は”大人”なんですか」問題である。”大人”と呼べるほど、僕は成長しているのだろうか。齢3つの子どもと暮らすようになったことも相まって、そんな問いが脳裏に粘着し続けていた。8月に書いた 若さという名の免罪符 にもその様子が垣間見える。
しかしながら、命題「ハタコシハルカは”大人”であるか」に頭を抱えてきた男の思考の結末はあっけないものだった。家族が寝静まった暗い部屋でひとり夜食のスモークタンをつつきつつSNSから機械的な祝いを受けた瞬間
「あ、”大人”だわ」
これである。1年間に及んだ若者 / 大人論争の結末は、25という個人的過渡期を越え、1つ歳を重ねることで、あっけなく解決した。
この1年間、色々な環境の変化があった。家族ができたり、転職したり、自分の名義で仕事をしはじめたり、有事が様々発生したり…。基本的には自分で流れをつくるよりも、流れに身を任せるタイプなのだけど、この1年はちょっと身体に堪える激流だった。結果、刺激の強い日々を経て、自分に向けられた”大人”というフレーズも違和感なく浸透するようになったと思う。
一方で、最近になって再燃した問いもある。「ハタコシ”何者”なのか」問題だ。
昨年1年を振り返ってみると、個人的観測では仕事漬けであった。要領が悪いうえに色々と手を出してしまう性分もあって、おどりばの大家やら飲食会社の広報やらクラファンの編集やら災害復興の事務局やら建築設計会社の企画(?)やら自己紹介が難しくなってしまった。初対面の方はおろか長い付き合いの方にも「なにやってんの?」と言われる始末である。
年始に毎年恒例のインフルエンザ発症イベが発生したのですが、今年はパートナーの看病の延長線上で起こったので、長くキーボードを叩く手を止める期間となり、期せずして「自分は”何者”なんだろう」と思い返す期間にもなった。
悩みと向き合うことを意識しているせいか、学生さんや同世代の問いや迷いに触れる機会を多く持ってきたけど、その際に必ずといっていいほど「自分は”何者”なのか」というフレーズが湧いてくる。この おどりば に於いても、同様の問いに向き合っている方が見当たる。客体的に自分がどう写っているのか、どんな存在意義を持っているのか、なにを成しているのか、成していくのか。自分もそんな問答を繰り返していた時期があった。
こうした問いが再度湧き上がってきたのか、と言われると、少し違うように感じる。というのも、前述したのは「多くの人々が過ごす広い円のなかで自分がどう在るか」であると思うが、今回の「ハタコシ”何者”なのか」問題はそうではない気がする。自分を含むもう少し小さい円のなかで、どう自分らしさを獲得し、表現するか…。まだうまく言語化できていないけれど、そんな感じ。
さきほど書き連ねたどの活動も自分の芯から逸れたものではないのだけど、キャパシティ的には限界が来ている感もあるので、本当に大切なものを大切にしていくためにも選択したり突き詰めていく時期に入っているのかな、とも思う。そういう意味では、おどりば や 遊覧潜水(個人屋号)の在り方を問い直す1年にしたい。
さ、26歳はどんな1年になるのかな。どうせ激動なのは承知です。その日々の先、1年後、僕は”何者”になっているだろうか。はたまた、”何者”に囚われないなにかになっているだろうか。不安半分、期待半分。どうぞよろしく。
お誕生日おめでとうございます!
何者なのかっていう問いは、本当にどこまでもつきまとってきますよね…でも、1年、楽しみですね。これからもよろしくお願い致します。