自己紹介 ひとりめのあなたへ

住人

あなたに聞きたい。

新しいことを始める時、勇気は必要か?

あなたの人生の一歩は私のものではない。私があなたにどんなに勇気を与えたいと思っても、勇気はあげられない。そりゃあそうだ、勇気はあげるものじゃない。

自分から差し出すことしかできないんだ。

「おどりば」を知ったのはとある先輩のTwitterからだ。

記事を読んで、すぐに興味を持った。

「こんなに自分のことを書いていいんだ」「この温度感で書いていいんだ」「似た悩みや葛藤を抱えている人がいるんだ」「それを文章にして、世に出していいんだ」

心がときめくのを感じた。こういう時、わたしは心に風が吹いた気がするのだ。本当に風を感じるのだ。少女漫画の読みすぎかもしれない。

だから、ここに私も文章を書いてみたいと思うまで時間はかからなかった。住人募集のツイートを見て、迷わず応募フォームから応募した。

これは間違いなく私にとって新しい一歩だ。

しかし、私はここで勇気を出してはいない。やりたい、書きたい、というただその気持ちだけで踏み出した一歩だ。でもあなたはどうだろう。

あなたはなりたいものにはなれないと言った。極力人とは話したくないと言った。好きなことを仕事にするのは金にならないと言った。わからないことを人に聞いても無駄だと言った。

そうなんだろうか。そうなんだろうか。そうなんだろうか。私は何も言えなかった。

だって、わたしもまだ、あなたの意見を否定する根拠を持っていない。なにひとつとして形にはなっていないのだ。

だから今、「おどりば」に来た。

踏み出したって、何にもなれないかもしれない。私だってずっと怖い。勇気を出して始めた何かが、モノにならなかったら。今やっていることが報われなかったら。

結果だけを考えていたら、どこにもたどり着けない自分と死ぬほど向き合わなくてはいけない。自分をどんなにぼろぼろにしても、自分を甘やかしても、どっちにしろ後悔する。

浪人していたときのことを思い出す。朝起きて天井を眺めながら、今日が始まってしまったことに絶望して、「合格しないと価値がない自分」と向き合わなければいけなかった。

結局全然うまくいかなかった。合格どころか、受験さえできないほどに心が折れて終わってしまった。でも今、わたしはちゃんと楽しい。ちゃんと夢に向かって生きている。

夢に向かう毎日そのものを、好きなものを好きだと言える自分を、まるごと愛することができるようになったから。

だからあなたも結果なんて考えなくていい。あなたはまだ若い。失敗したって許されるんだから、やりたいことを好きなだけやってみてもいいのに。

と、わたしは無神経にも言えてしまう。もしかしたら残酷なことを言っているのかもしれない。わたしは失敗に価値を見出すことができる人生を送ってきたし、何かに挑戦するハードルが低いのだろう。

でもあなたはそれができない。そしてそれは、決して悪いことじゃない。あなたは悪くない。

きっとあなたには、本当に振り絞って出した勇気をぺしゃんこにされた経験がある。

優しくて人の気持ちを汲み取ろうとするあなたのことだから、余計に傷ついたのかもしれない。

ごめんね。わたしはそんなあなたを守れなかった。もしかしたら、わたしの何気ない発言があなたの勇気を潰していたのかもしれない。

そう思ったら、きっとあなたの辛さは違うところにあるのかもしれない。

人に、人生に期待することを、もう諦めてしまったの?

わたしはきちんと知っているのだ。あなたが自分より小さいものや弱いものに優しいこと。気遣いができること。言葉のセンスがいいこと。好きなものをずっと好きで、大切にできること。

できないことがあったとき、自分自身を否定する必要なんて全くないんだ。できないことがあっただけで、それがあなた自身の価値を落とすわけじゃないんだ。だってわたしは、わたし達は、あなたのことが大好きだ。

だから怖がらなくていい。今は踏み出せなくてもいい。いつかあなたが踏み出す一歩は、誰のどんな一歩よりもわたしにとっては眩しくて、素敵で、泣いちゃうくらい嬉しい一歩だよ。

「結局、人は人のためにしか本気で祈れない。」

本当にそうだ。わたしが1人生きていたところで、じたばたしたところで、誰のことも本当の意味では救えないのだろう。それでもわたしはたくさんの人の言葉に、暖かさに救われてきた。

だからわたしも、静かに、誰かもわからないような神様とか、そのとき1番に目についた星とかに祈るのだ。

あなたが幸せでありますように。あなたの人生が、喜びや愛であふれますように。

その溢れ出した中のほんの少しに、私の存在があったらいいな、なんてエゴも抱きつつ、あなたを思って祈るのだ。

はじめまして。

改めまして、ゆまいさかです。

今月からこのおどりば、05号室の住人になります。参加させていただけて非常に嬉しく思います。

どんな文章を自分が書けるのか考えて、毎月違う「あなた」への気持ちを書いていきたいと思いました。

その中で自分のことも書いていけたらと。続けられるかわかりませんが。この記事を読んでくださっている「あなた」にも届きますように。

締めに短歌を一首置いていきます。下手の横好きです。お手柔らかに。

立ち込めよ雲よ絶望に寄り添え 飲み込め全て光も影も

ゆまいさか

夢は、超すごい音楽の先生になることです。

プロフィール

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  1. しえさんしえさん

    はじめまして、こんにちは。12号室に住んでいた元住人です。退室してから忙しない日々を過ごし、なかなかおどりばを読めていなかったのですが、ふいにTwitterに流れてきたゆまいさかさんの記事のタイトルに惹かれ拝読いたしました。わたしは「あなた」ではないけれども、とてもいいな。と思って…。それがどういいのかは上手く言葉にできないんですけど、どうしても「とてもいい」と感じたことをお伝えしたくコメントを綴りました。