32年間連れ添ったあいつに別れを告げよう -003-

住人

女性の体に生まれて30年弱。
あいつが気になりだしたのは高校生になってからだった気がする。女子の間ではたまに出てくる名前で、その時はそんなに気にも留めてなかった。
 

私は、極端に女子度が低い。というよりも、中学の頃が一番身だしなみに気を付けていた気がする。それこそ女子グループの中で浮かないように、ファッションに気を付けてみたり、見よう見まねでメイクをしてみたり。

初恋はたぶん小学生。同じそろばん教室に通っていた男の子に「好きな子いるの?」って聞かれて「あなただといったらどうする?」といっちょ前にませた回答をしていた。(次の日クラス中に広まり、咄嗟に好きじゃない!!と言いはりその恋は終わった)

恋というか学年の人気者を好きになるというのはあるあるだけれど、少女漫画のような進展なんて期待できるはずもなく、男勝りな気性と乱暴な言葉遣いによって「女の子」というくくりからはかけ離れていた。

そんな私に転機が訪れたのが新社会人になって、大人の恋愛をするようになってからだ。言うてしまえば、SEXをするか否か。

当時好きになった人も、初体験も結構特殊な状況で、その時相談に乗ってくれていた友人は「なぜ、そんなに茨の道を行きたがるのか…」と同情されたほど。恋愛経験の少ない私は、いつも好きな人から相談を受ける一番話しやすい「異性」だった。その中で流された恋もあったし、「異性の友情」を守るべく、秘めた恋も多かったなぁ。

だからね、必然と「体だけの関係」というのもあったわけで(大人な恋)

そうすると別に嫌われる心配とかないから、ずけずけとモノを言われることもあるんですよ。その中で言われたのが

 

 

陰毛濃いよね??

 

 

 

 

アワ((゚゚дд゚゚;; ))ワワワ

そうなの???

知らないよ。比べたことないもん。

温泉好きだけど、だいたい皆隠すじゃん。

確かに、ちょっと多いかな・・・?とは思ってたけどさ。はっきり言われるとやっぱり傷つく、、、

 

 

そこからね、自分の中では結構気にしちゃって。

剃ってみようかって思ったこともあったけど、今より10年近く前で、山奥暮らしの情報なんてたかが知れているんですよ。

俗にいう”パイパン”なんて、まだ思春期に入っていない子かAVかの世界じゃん。もしくは変態彼氏に調教されているだな~くらいしか思わないじゃん

 

ただやっぱり気になるし、行為中相手の口に入って”それ”を取り出してるのを見たりすると申し訳なくなってしまうわけですよ。下着からはみ出ている”やつ”を見ると自分でもげんなりするし、掃除中にどこからともなく出てくるあいつに震えたりもしたわけで。

 

で、ついに32歳になって脱☆陰毛をしようと立ち上がったわけです。

まさか、32歳で初体験をする日がこようとは・・・。

誰でも初めてのことは緊張するもの。

今回は地元でお世話になっているサロンさんへ予約をし、当日どういう流れで施術をするのか詳しく教えてもらいました。

 

 

 

流れとしては・・・

前日までにアンダーヘアーを全剃り→当日紙ショーツになり、レーザーを使って脱毛

という、いたってシンプルな流れ。

18歳の時、ワキ脱毛はしていたので何となくイメージはついたものの、なんたって心を許した相手にしか見せない秘境の地。

見ず知らずの(女性とはいえ)方にやってもらうのに、「色がくすんでる」とか「こいつめちゃめちゃ濃いやん、、、」とか思われたら、恥ずかしくて死ねると緊張しっぱなし。(セフレの「お前毛濃いよ」発言がけっこうトラウマでした)

 

さてさて、決戦前夜

剃刀片手に、いざ毛を剃るために旦那の髭剃り用ムースをつけいざ!!!

『ジョリ、、、、(スー、、、)』

「ん??」

二投目

『スーーーー、、、、、』

 

 

「!?!?!?!?!?!?」
 
 
なぜかクリームしかとれず、やつは肌の上に当たり前のように滞在している
 
 
 

パニック!!!!!!!!

「、、まじか、、、、」

私の毛はよっぽど私が好きなのか???
5枚歯の剃刀をもってしても剃れないのか、、、?
 

ならば!!!!
 

おもむろに眉用のシェーバーを取り出しあててみる

「ウィーン、、ウィ、、、ウ、、、、、」

無理もない。剃刀で切れないのだ。シェーバーなんて太刀打ちできるはずもない。

え、どうしよう???????
 
 

3秒ほど考えて、出した結論
 

お風呂場にあった工作バサミで、ギリギリまで引っ張ってジョキジョキ切ってみた。
 
 

そこはどうあがいても”毛”である

芝を刈るようにザクザク切り落とし、剃刀がいけそうな長さまでカット
 

そのあと改めて、クリームを塗り剃刀を投入

「ジョリ、ジョリ、ジョリ、、、、」

今度こそすべていけた。

クリームを流し終え、再度剃り上がった場所を確認。

昔、見たかもしれないその場所は”青髭”のようになってはいたものの、ぷくっと膨らんだ可愛い形をしていた。

 

そして、当日

担当のお姉さんは仏のような優しさを身にまとい、施術の説明を丁寧にし終えたあと、機械を使い私の可愛い部分をきれいに脱毛してくれました。

今の脱毛技術ってすごいね。熱照射と冷却を同時に行えちゃうのね。
 

以前ワキの脱毛をしたときは、熱照射をした後、炎症しないように保冷材で冷やしていた。
文明の進化はなんて素晴らしいのか。
 

お姉さん曰く「粘膜に近い部分はどうしても痛みが出やすく、ほかの部位に比べ毛が太く、濃いため回数はかかる」とのこと

確かに照射時、輪ゴムをパチンとする痛みはあるが本当に一瞬「パチッ」とするだけで、照射の熱よりも冷却の冷たさにびっくりしたくらい

施術時間は初回説明含めて1時間ほど。それ以降は30分以内には終わる。体感や時間は個人差があるので、何とも言えないけど、案外あっけない初日を終えた体は「初めて化粧をした」日に似ていた。
 
 

ちょっと悪いことをしているような、恥ずかしいような。
「大人になった」みたいな、むず痒さと少し背伸びしたワクワクした感情を、また体験できたことはとても貴重だったかもしれない

その後、1週間ほどでまた少しずつ伸びてくるけど、今度は剃刀で簡単に剃れるので、初日のように絶望することもなく、いたって快適。

 

 

”カレ”とお別れして分かったことが二つ

一つは【陰部ってこんなに汗をかくのか】ということ。時期にもよるだろうが、冬場はタイツを履くので蒸れるし、夏場は普通に汗をかく。
こんなに下着ってしっとりするのね。

 

そしてもう一つは【生理の時、経血ってこんなに前に流れてくるのか】ということ。

”カレ”がいるときはどちらも「蒸れるな」「臭いが、、」という不快な気持ちでしかなかったが、いなくなって初めて、カレが担っていた役割を知った。
 

 
どちらも、失って初めて気づく気持ち
恋と似てる

 
だけど、案外快適

生理の時の独特な臭いも全く気にならないし、下着からはみ出た姿を見ることもない。そして、掃除のたびに得体の知れない”チリ毛”に頭を抱えることもなくなった。
 

パートナーも、最初こそは「なぜわざわざ剃るのか」不思議に思っていたみたいだけど、毛のない姿に興奮するのか、密着度があがるのか、とにかく行為中の感度が上がったので、良しとしよう。

 

 

全剃りするまでは、女性の体を持った私でさえ「全剃りは恥ずかしい、エッチな人がするもの」という偏見があった。しかし、フィットネススタジオを経営している友達は「運動中蒸れるし、気持ち悪いから脱毛した」と言っていたし、海外では当たり前のエチケットでマナーだそうだ。(所説あるが、ワキの処理よりも陰部の処理のほうが大切らしい)

今では、脱毛の中に必ず「「 VIO 」」という項目があるくらい主流だし、私みたいに全部剃らなくてもIラインとOラインだけ脱毛し、Vは適度に残すという「セミハイジニーナ」が一般的らしい
※全剃り=ハイジニーナっていうんだって

昔のように「パイパン」という言葉はもはや死語

友達との会話でもVIO脱毛やハイジニーナという言葉を使えるのはとてもおしゃれな気がするし、少なくとも私が持っていた『パイパン=淫乱』っていうイメージを払拭できるのはとてもいいと思う。
 
まだまだ日本男性はAVの知識が8割の人も多いと思うし、女性だって腕やワキの脱毛はするけど隠している部分をしてもらうのは勇気がいることなのかもしれない。
 

だけど知識があれば、それが常識の世界がある。
 

自分が疑問に思うことは誰かもきっと疑問に思っていると思う。
私みたいに、相手は何気ない一言だったかもしれないけれどそれがコンプレックスになってしまうのはとても悲しい。
 
 
 
今回の記事が、何か自分のトラウマでもコンプレックスでも、それを払拭する第一歩になってくれたら嬉しいな。

Knoah

見た目はポジティブ中身は陰キャのアラサー。世界はいつでも優しいんだよ

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