osmanthus

住人

職場は残業シーズン。
3月中は毎日21時まで残業。
仕事後、義理のホワイトデーのお返しを買いに権堂の綿半へ行く途中、以前から気になっていたラーメン屋「桂林」に入る。
月曜のこの時間なのにカウンターはほぼ満席。それぞれがぺちゃくちゃと楽しそうにおしゃべりしている。
その間を空けてもらい座る。
左右の耳の意識を変えると、ラジオのチャンネルを変えるように違う話が聞こえてくる。
右では、旅行者の若者が地元の中年夫婦から長野話を聞かされている。学校の授業で登山があることや、上越に信毎の海の家があることに驚いている。
左は、上司と部下の図。上司が「昔は100時間以上残業していてよ~」「帰るのが遅くて恋人にも怪しまれてよ~」と語り、部下が「まじっすか」「やばいっすね」と応え続けている。いつどこだかは忘れたが、経験したことがあるような図だ。
そんな話を聞きながら、自分でも分かるくらい顔をニヤつかせて五目麺を食べ終えると、満席の店にさらにお客が4人ほど入ってきたので、そそくさと店を出た。
店主に「ごめんなさいね〜」と言われたが、むしろこういう雰囲気の店でよかったと思った。
見上げると、明日には満ちそうな月が光っていた。

soshi

1991年生まれ。長野市出身。 大学の専攻はジャーナリズム。休学し9カ国放浪後、地元市役所に入る。福祉部門に配属となり、障害者のソーシャルワークなどを行なう...

プロフィール

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