1枚に込められた無限の記憶 -005-

住人

ふと写真を見返したくなって、Googleに入っている写真を遡ってみた。

一番古い写真は2012年の12月。多分帰郷した時に撮った実家からの雪景色

 

地元を離れ東京へ引っ越して2回目の冬の始まりだった。一番知りたかった2011年の写真は一枚もない。

初めて引っ越した場所、初めての一人暮らし、初めて一人で過ごした1年間は間違いなく私の人生を根本的に変えたのにその思い出は私の頭の中にしかないらしい。

そこから遡って初めて海外旅行へ行った写真、友人の結婚式、鬱後初めて就職した会社、彼と出会って初めて行ったDL、初めてのライブ開催、そして自分の結婚式…

たくさんの思い出を一瞬だけ切り取った四角の中はどれもその時の感情、空気、温度、声、全部を思い出すことができる。こうして遡るたくさんの色たち。それなりに歳を重ねてきたけれど、そのどれもがここから来ているのかと思うと愛しいと切なさと心強さで泣きそうになる。

今年3月地元駒ヶ根市に「整体ができる美容室」を夫婦でオープンさせた。オープンにたどり着くまでに何度も「(店作りなんて)やめてしまえ」と思うことがたくさんあって。その中にはもう夫婦を辞めようという話も含まれていた。結論として今のところ現状維持だけれど、彼とは夫婦というよりもビジネスパートナーとしての認識のほうが遥かに強い。お店にいても家にいてもはなすのは仕事のこと。お互い熱が入れば譲れないところもたくさん出てくる、し根本的にアッチもこっちも合わないのよ。うちら

おっと話がそれました。

お店の工事に突入してからは毎週店舗に行って進捗を見ながらここはこうだね、こうなるね。あれ、ここはこうしたほうがいいのでは?という話し合いをめちゃくちゃした。それと同時に施工担当さんが1000枚を超える写真を撮ってくれていた。

うちの店舗はもともとが印刷会社の事務所兼倉庫で建物自体は建築基準法ができる前の物件だから、それはもう問題だらけの欠陥建物で。誰もかれもここは辞めたほうがいいよって言われた。

 

でも譲れなかった。ここでやりきろうと二人で決めた。

 

無事店舗がオープンし今では以前の面影がなんにもなくて、お客様も「ここはバーですか?」って言われるくらいのおしゃれで隠れ家的な美容室になっている。

施工中の打ち合わせ時の写真
同じ角度から撮った店内

 

ここから何十年私達はここで生きていく。ここで様々なドラマを生んでいく。

過ぎていく日々は当たり前で昨日は思い出せても一週間前何していたのかなんて思い出せない。それでも写真を見返す度にその時感じた感情は自分の中に生き続ける。苦い経験も苦しい思いも、嬉しい気持ちも幸せな思いも。

 

苦しいときはあえてその時感じたままシャッターを押してほしい

 

その1枚がのちのあなたの誇らしい記憶となる

 

Knoah

見た目はポジティブ中身は陰キャのアラサー。世界はいつでも優しいんだよ

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