なかがわさんってゲイなの?!

住人

書き急いでしまう。別に生き急いでいるつもりはないんだけど。「わたし、20年間走り続けてきましたから」って言う人いるじゃないですか。あんな人のようには駆け抜けられないし、それが美しいとは思わない。なのに、書いてしまう。ここ(おどりば)にも、生きているうちに書き残しておかなきゃって思うのを止められない。誰も読まないのに。自分でさえも忘れてしまうのに。

何度も同じことを書く。何回だって書き直す。文学賞には箸にも棒にも掛からなくなってしまって、もう何連敗? 一桁じゃ済まないかも。流行の小説とか映画とか、読んだり観たりした方がいいのかなあ。でも、みんなと同じものを観賞したら、それだけの感性になってしまう気がして、手を伸ばす気にならない。わたしの小説は人をぽかんとさせるし、拒絶されている。共感するポイントがないからで、そこは改めるべき点かもしれない。いや、きっと、そう。でも、意固地に誰にも迎合しないって抗ってる自分がいるネ。もちろん、あまりに独創的じゃない方がいいって知っている。少しダサいくらいがちょうどいいと思う。エンタメ性と芸術性の塩梅の匙加減がとても大事だよ。でも、そんな器用に書けない。書く術を勉強してる暇はない。だから、永遠にぽかんとされても、理解されなくても、認められなくても、称賛されなくても、共感されなくても、書き急ぐ。自分の実力を信じてあげられるのは自分しかいなくて、厳しい戦いが続くけれど、ただあるままに自分を書く。

日本語の文法について学んでいる。わたしの作風はいかに文法をわざと間違えるかというものだから、正しい文法を知らなくては勝負にならない。間違えることによって生まれる奇妙さや気持ち悪さを計算して生み出したい。たまにそれっぽいことができるけれど、今のところ、偶然でしかない。そんな挑み方をしていることは、伝わってないだろう。「この人、まともに文法もわかってないクセに偉そうなこと書きやがって」と思われているに違いない。別にいい。誤解されたいという気持ちはあらゆることで、ある。なかがわよしのという名前からして、女性に間違えられたいからだし、「なかがわさんってゲイなの?」と誤解されたのも愉快だった。怖い人だと思われていることは重々承知していて、でも皮肉にも≪いい人≫だから、わたし。実際に話してみてギャップを楽しんでもらいたいわね。

静かに暮らしたいって吉良吉影かよ。なかがわよしののブログには半年分の予約投稿がされている。書き急ぐ。これを書いているのは更新日の随分前だ。書き急ぐ。書く時間以外は無駄に思えて仕方がない。家事や家族との時間、仕事、友人との会話。すべては無駄だ。でも無駄が大事なことはわかっているから、受け入れる、でも、仕方なく。わたしの小説は一番無駄で、無駄無駄無駄だらけのわたしの人生。いつか無駄死にするのかなあ。そんな無駄で役に立たない小説を書き続けたい。自分の存在意義を証明したいとは思わなくなってきた、無駄だなって。

以前、ズボンズというバンドが注目されたことがある。25年くらい前ですいませんネ。生粋のライブ・バンドでフジロックで見た時の衝撃は忘れられない。日本ではウケたとは言い難い。でもいまだに海外で評価されている。それくらいのバンドだから売れたっておかしくなかったんだけど、リーダーのドンマツオさんは、商業的な曲を書けたのに書かなかったよね。当時はそんなズボンズがもどかしかったけれど、今になればその気持ちがわかる。成功なんていらないんだな。現在で言えば、カネコアヤノに注目しているわたしですが、彼女も「わかってたまるか」って商品化されるのを拒否、カッコいい。あんなふうに生きたいな。でも、売れたいなって邪だから、わたし、そうはなれないことは確実ですね。

高校までやった野球、好きではなかった。社会人になってから始めたバスケ、うまくはなかった。どちらが幸せだったかと言えば、当然、後者で。だからうまく書けない小説を選んだのも、間違いではない。田我流『ゆれる』が、わたしの讃美歌で、グサグサと、でも、やさしく刺さる歌詞が、いまだに。何年前の曲だ、何百回聴いた? この曲で歌われる「挑戦しないで死ねない!」という心意気はなくて、そんなこと言わないよ。書くことは挑戦ですらない。息するのと同じ。書き急いでる場合じゃないよな。もっと自然体で書きたいね。自然体って何よって話だけれど。ぐるぐると禅問答。どんどん哲学的と言われてしまう。難しいこと書いてるつもりはなくて、あなたを実験しているんだ。今後もやっぱり自然体で書き急ぐつもり、ってなんだよ。

なかがわ よしの

生涯作家投身自殺希望。中の人はおじさん。早くおじいさんになりたい。

プロフィール

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  1. 部外者

    自分は読んでますよ。

    難しいことはあまり分からないですが、
    なかがわさんの文章を読むと「自分も戦わなければ!」
    と奮い立ちます、毎回。

    いつもありがとうございます!

  2. なかがわよしの

    コメントありがとうございました。
    「自分も戦わなければ!」と奮い立つ
    とのコメントをいただき、わたしも
    「自分も戦う!」とふむぐり立ちました(興奮)。
    今後も二度とない日本語生み出すこと、
    誓いたいと思います。