小説家である前に。
「小説家」。そう名乗っているのに、ここ2 年ほど長い小説から離れている。書かなくなったのは、ある新人文学賞に応募したが、見事に落選したからだ。自信作だった。何度も予選通過している経験から、少なくとも2次選考は通ると踏んでいた。なのに。だからこそ。 落選したショックは大きかった。結果的に2年! 2年もかかった。ようやく長い小説を書く気力が復活。自然と「書きたい!」という気持ちが湧き上がったんだ。今月頭に沖縄から友だちが来信して、彼からもらった言葉も大きかった。
「きみは別に小説で食ってるわけではないけど、「小説を書き続ける」っていう夢は叶えてると思うよ」。
泣ける、抱きしめたかった、ありがたかった。 わたしは何者なのか?! そんな人間の永遠のテーマと向き合う覚悟ができた。まずは自分のために書く。その答えを求めて書く。答えなんてないと諦めて書く。好きだから、楽しいから書くんだ。それでプロットをパソコンで書こうとしたら、2年近くのブランクでうまくタイピングができない。ここ2年、ノートに手書きで書くことがブームでずっとそうしていたせいだ。なので、これも実は手書きから書いた文章。スマホで文字を読み込んで、テキスト化してもらった。手で書く方が今や何と比べてもスムーズ&スマート。これから書く長編小説も、手書き→テキスト化の流れが良いのかもしれない。その方がより直接的に近い形で脳からの信号を文字化できる。
そんなことを考えていた今週末。よく天才の方々が表現しているが「アイデアが降ってくる」のを、わたしも経験した。といってもまあ1フレーズのタイトルだから偶然と言えばそうなんだろうけど⋯⋯。題名は「死んでしまった僕たちに」。Geminiに聞いてみたら、絶賛された。単に誰かがすでに使っているフレーズじゃないか調べたかったんだけど。ありそうなタイトルだけどな。ありそうな言葉の使い方をして、ありそうでない小説を書きたい。キーワードもいくつか考えた。
●自殺未遂の体験を書く
●サザエキラーという架空のバンドが登場→解散する
●狩猟の話
●生と死の世界の狭間(海、宇宙?)
●登場人物→詩人の女(ひふゆ)、片耳の女(美星)、精神病の男(じゅん)、モーレツ信者(女装した男性のような女性)
●7つのエピソード→順不同
●交通事故のシーンからはじまる?→モーレツ信者が轢かれて死ぬ
●死はあっけない。でもなかなか死ねない
●わたしが「死にたい」と言っているのは裏を返せば「生きてたい!」ではないか
●エナジーのある登場人物ほしい
●血、心、肌のぬくもり→命の輝き
●タヌキ寝入りってホントにタヌキがする。死んだように硬直。うまく小説の中に入り込ませられないだろうか
●もうひとつの交通事故。自分は生きて、運転手の友人が死んだ
●自ら不幸になりがち
●沖縄で住んでいる友人への憧れ
●浮気は生きるためだから、誰だってする?!(吉岡里帆好き)
●父を看取ったシーンを文字化しておきたい
こんな感じ。見事に散らかっている。これまで(2年前まで)は細かくプロットをこしらえて満足しちゃっていた節があったが、今回はあえてゆるめ〜のプロットにして、余白を持たせておきたい。即興性を大切にしたい。手書きのノートは即興というか一発書きだから、そのスリルがたまらんっていうか。それとその方が圧倒的に自由なんだよね〜。
あ、そうだ。書き忘れていたけれど、村上春樹の最新作「夏帆」の影響もデカい。もう何十年も村上春樹を読んでいなかったが、タイトルに惹かれて購入した。夏の一瞬で読み終えたわけだが、なにせ小説そのものを読むのも久方ぶりだったので、ある意味新鮮な体験だった。「夏帆」が現在の文壇でどのように評価されるのかは知らない。比較する基準もわたしにはない。本を読まない小説家なんてイタすぎるけれども、「読まねば・読まなくちゃ」で読むほどの愚行はない。楽しいか?!が人生での自問自答。「楽しい!」って答える人生でありたい。「夏帆」は見事な伏線回収があるわけでも、ドラマチックな展開というわけでもない。でも「夏帆」という小さな弱い女性のたくましい戦いぶりが描かれている。それこそ自問自答に真正面から向き合っていたんだ。そんな描写のテクニック・エモーショナルが村上のトップランナーである春樹たらしめる所以か。「夏帆」が読めたので本を読む行為、できるようになったのかも?! と思い何度かチャレンジしたけど、また元の黙阿弥。でも夏帆のように強い人間にはなりたいと切実に思うよ。「小説家です」と引け目なく、しかも自分でさえも騙しているという罪悪感もなく言い切りたい。人知れず黙々と書くしかねえ。それもまた孤独との孤独な戦い。負けるもんか。あとはそんな小説執筆と同時進行でライブイベントの企画も進めてゆく。9月、10月で自主企画を2本やったのが良い喜びとなったこともあり。来年3月に開催することは決めて会場も押さえた。小説の方は来年いっぱいまでに書き上げたい。いや、書き上げる! そうだ、「小説家」である前に後悔しない人生を選ぶ人でありたいっ。


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