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愛ってなんだかわかんないけど少しだけわかったような気がする

住人

「元気にしとるけ?」

金沢なまりのどこか優しくて、懐かしい声が電話の奥から聴こえてきた。

久々だった。

「おお、久しぶりだねぇ、どうしたの」

久しぶりの電話にお互いいろんな話に花が咲いた。

あれからどうしていたか、仕事の話、友達の話、趣味の話。

3年間でいろんなことが変わった。

仕事に対する考え方や、価値観、プライベートも。

そして、私たち自身のあれこれも。

突然、

「るるに伝えたいことあってん」

「俺、やっとな、るると別れてから好きな人できて、、前に進みたいと思ってん」

なんだかどこかでわかってたけど、ずるいのかもしれないけど、心が少しちくり、としたのだ。
back numberの「そのドレスちょっと待った」が頭で流れはじめる。

ああ、逃げてきたけれど、わたしも言わなきゃなぁ

「おお、そうかそうか、よかった、おめでとうじゃん」

私も言わなくちゃ。

「実は、私もね、結婚するんだよ」


いつか、言わなきゃと思っていたことを言ってしまった。

たった、今、言ってしまったのだ。

言えてよかった、、、のだ。

彼は

「おめでとう!先こされて悔しいなぁ」

そんなふうに少しさみしそうな声で笑っていた。

そんなふうに感じたのだった。

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「私は結婚なんてまだ考えてない」
「ウジウジされるのが嫌」

「でも、、俺頑張るから、、」

この人はなんでそこまでして

わたしといたいのだろう、

なんだか重たいな、やだな

懐かしいあの日が少しだけ蘇る。

わたしはこの人をいつか壊してしまうんじゃないか?

この人の良さが消えちゃうんじゃないか

なんだかふと、怖くなった。重くなった。

「やっぱごめん、、」

そして、別れたことを思い出した。

長かった8年が幕を閉じたのだ。

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「結婚」ってなんだろう、
人を「好きになる」ってなんだろう

最近、こんな会話をしたことがある。

「〝愛〟は全てを許容するよね。だからたとえ主導権をとろうって〇〇さんがなっても、喧嘩しても、彼はそばにいてくれるんじゃないの?家族もそうだよね」

素直にそうだなぁ、と納得した。

同時に、はっとした。

当時はきっと、

その人の格好?スペック?自分が優位に立てるかどうか?

そんなことばっかりを気にしていたのかもしれない。

わたしが、わたしが、わたしが、、、

もしかしたら、つい少し最近までそうだったのかもしれない。

もしかしたら、今もそうなのかもしれない。

いや、きっとそうだろう。

それでも、ほんの少しだけ気づけたのだ。

もし、あのとき私の関わり方が変わっていたら?気づけていたら?話をしていたら?

もしかしたら、、、

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「俺もはよ前進まんと!これで心置きなく進めそう、ありがとう!」

さっきとは打って変わったような明るい声だった。

この人、こんな嬉しそうな声、してたっけ。

わたしのそばにいた時。

ああ、いま、幸せなんだね。

「私もよかった」

「るるも元気でね、幸せになられますように」

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長い長い思い出の旅は終わったのだった。

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「ずいぶん、長い電話だったねぇ、せっかく入れた紅茶が冷えちゃうよ」

「ごめん、ごめん」

部屋の外からはいつもののんびりした顔が覗いていた。笑顔である。

その顔を見て、ちょっぴり「もしも、、」なんてことを考えてしまった自分を深く深く反省した。

そして、改めていま横にいてくれる、この穏やかで優しい顔を大切にしていきたい、と心に誓ったのだった。

る る

る る です。 モットーはのんびり、ゆっくり。 時に葛藤を。 ことばを紡ぐ不思議な空間が居心地いい。 そんな空間、おどりばに参加したコトがきっかけ。 これか...

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