上へまいりまーす

住人

「上へ参ります。」

そんなアナウンスをしてくださる
エレベーターガールもめっきり見なくなった現代。

エレベーター、それは箱に乗って自動的に連れてってくれる。
エスカレーター、自動で、少し景色を見ながら進めるようになった。
階段、中だったり外だったり、自分のペースで上ってく。

階段には「おどりば」があるのだ。

そんな話をしたい。

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□ エレベーターは、連れて行かれてしまう、とも言える。
アナウンスに従って、思わず、あ、その階に降りて見ようかと、誘導されることも。
エレベーターの速度は自分で変えられないし、一緒に乗り込む人を選ぶことも難しい。
時には、思わずアクシデントに巻き込まれるかもしれない。

そういえばさ、高層ビルの少ない長野には、エレベーターが少ないよね。
車椅子用にある駅のエレベーターくらいかな。
あればどっちの扉も開いたり、なんだかまた別物のようだ。

□エスカレーター、足元だけが動いてくれる。
左だとか右だとか、地域によって違いもあるけれど、どちらかに並ぶ。
(本当はさ、機械としては両方に均等に並んで欲しいらしい。)
一方が開いてるお陰で、急いでいるときは、階段のように上ることもできる。
おどりばとは違う、あまり留まることのない、階層との合間もある。

「エスカレーター式」なんて呼ばれる、人生の決められたレールも、あまり機能しなくなった現代。

階段は?

□階段は、勝手には動かない。自分の足で上る。
駆け抜けた先には、途中におどりばがあって、自分のペースで息を整える。
駆け上がったって良いし、人に合わせなくても良いし。
誰かが上っていても、うまく避けて進めば良い。
時代が変わっても、大して変わることのない階段。

「おどりば」がある階段のように、人生を進められたら良い。

そんなことを、ふと思ったのです。

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大事な人生の選択こそ、何度もなんども、立ち止まって、考える。
おどりばに到着する前にも、階段をゆっくり上ってみたり、少し焦って駆け上がりたくなったり。

そもそも、選んだ階段があっていたのか。上っていいのか。

時には、自分の小さな選択に自信が持てなくなって。

周囲に、聞いてみる。ねぇ、大丈夫かな?どう思う?と。

でもね、そう、誰も、同じ階段を上ったことなんてないよね。

似たような階段はいくつもあるかもしれないけど。

到達する場所は、もしかしたら同じなのかもしれないけど。

だからさ、どうやって上ったの?

うまく上るために鍛えたの?って教えてもらうのは良いかもしれない。

確かに、エレベーターやエスカレーターに乗り慣れている人より、
階段を使う人の方が、足腰も強そうだ。

時には何かの助けを借りて、上ってみるのも良いけど。

上る過程も自分持ちじゃなくっちゃ、上った時の達成感もないもんだ。

階段を選ぶのは自分だし、結局、誰も、代わりには上ってくれないから。

だったら、なるべく階段を選ぶ人生が醍醐味がありそうだ。

いま、階段選びから始めようとしている。

頼れるのは、自分。この目で、この身体で、感じていこう。

今も自分は、おどりばに居る。

こもれび -komorebi-

こもれび

『こもれび』 木陰でそっと休む。 見上げれば、キラキラした光。 吸い込めば、青々とした緑。 耳をすませば水の音。 そんなひとときを過ごせるように。 自分のた...

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