ものの見方が変わる時

住人

昨日から石ころに色を塗っている。

昨年の夏に新潟で拾ってきた石だ。
拾ってきたまま、ずっと玄関に置きっぱなしになっていた。
あまり外出もできないゴールデンウィーク。
「何か作ろうか?」
そんな思いで石を洗いはじめた。

一つ一つの石を庭の水道で丁寧に洗っていく。
丸いもの、平べったいもの、大きいもの、小さいもの。
いろいろな形があった。
一通り洗い終えると何だか心がワクワクした。

「この石は◯◯にしようか?」
「この大きい石と小さい石で親子にしようか?」

頭の中でたくさんの想像が広がった。

——

ふと、思い出した。

クレヨンしんちゃんに出てくる「ボーちゃん」というキャラクターがいる。
いつも鼻水を垂らしている、おとなしいキャラクターだ。
そんなボーちゃんには趣味がある。
それは「石集め」だ。

変わった石を集めたり、魅力的なサイズや曲線の石を探し求めている。
ほかの人から見たら、その魅力はよく分からないかもしれない。

でも、僕は、ボーちゃんの気持ちが少し分かった気がした。一つ一つの石を見ていると、様々な想像が広がって楽しくなる。玄関に1年弱ほったらかしにした石だけど、すごくすごく魅力的なものに変わった。

石を見て、考えて、何かを作る。
それってすごく面白いことだなと思った。灰色のどこにでも、ごろごろ転がっているもの。そこに魅力を感じること。それって、とても不思議なことだなとも感じた。

——

ものの見方が変わる瞬間。
それは、必ずそのものを見て、考えて、深く感じる時だ。

人は見た目で瞬時に物事を判断する。
それは人間においても。

「あの人は◯◯だな」とか、
「あの人は◯◯そうだな」とか。

そんな断定的な見方をすぐしてしまう。

転がっている石ころが、面白く輝いて見えたように、人は人にたいして、違う見方をすることも大切なのかもしれない。

見方ひとつで、もっと社会は優しくなるのかもしれない。

そう、思った。

——

僕の石ころアートを少し紹介します!


roku

「街をクリエイティブに彩る!」看板屋さんに勤めるデザイナーです。イラストが得意です。粘土で立体を作ったりもします。考えながら、悩みながら、楽しみながら、日々...

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