立ち止まる僕を許してよ

住人

01号室で綴ってきた言葉を読み返してみると、この2年間なにを考えてきたのかが鮮明に思い出されます。27年間の人生を俯瞰してみてみれば、比較的には心を安定させて過ごせていたような気もするが、転職したり、無職になったり、家族ができたり、仕事が忙しくなったり。そして、いまもなお続くコロナの影響が及んだり。慌ただしかった。この3月には引っ越しをして、新しい生活もはじまります。

おどりば での暮らしにも変化が起こります。01号室は今回の投稿を以て退去。これは以前の投稿でも予告したとおりで、僕自身が胸のうちに抱えてきた『揺らぎ』が、時間の経過や生活の変化により小さくなってきたと感じるから。

おどりば がまだ構想段階だった3年前。当時の僕を知っている人は、いまの僕を見ると総じて「顔色がよくなった」と言います。あの頃はかなり自分を追い込んでいて(いまでもその癖はあるが)、いろんな葛藤に苛まれていたように思います。

「受容される空間と許容される社会を」

こんなことを言いはじめてから、もう10年くらいになります。ずうっと自己肯定感が低く生きてきたけれど、同じように悩む誰かを見ると、その人の根幹たる部分が垣間見えるような気がして、何故かそれが美しく見えて止まなかった。自分でも見えていなかった(見えないふりをしてきた)自分の芯らしいものに触れることに、きっと価値がある。そう思いたかった10年前から考えは変わっていないし、むしろ”きっと”が外れるくらいには、そうした瞬間に出会ってきたと思います。

そのためには、ときとして立ち止まることも必要で、潜考することを周りが、自分が許せる世の中になってほしかった。なにも「世界が平和になるために!」みたいな話ではなくて、10年前も、3年前も、僕はひどく悩んでいて、立ち止まりたくて、それを許してほしかった。だからきっと「ここはじっくり悩むとこ!!」をつくったのでしょう。

僕ら3人が思い込みでつくった おどりば という空間は、いままで過ごしてくれた住人や関わってくれた方々によって、間違いなく”在る”ものになりました。これで僕はまた安心して立ち止まれるし、自身の踊り場に差し掛かろうとする誰かにも、居場所を作れているだろうと思います。みなさん、本当に感謝しています。

 

さて、これにて退去します。もうすこし寂しい気分になるかと思っていたけど、そうでもないのですね。まあ、運営という立場でもあるので、おどりば での暮らしは続いていくわけで。居室さえなくなりますが、マンションの入口にあるような管理人室でもこさえて、これからも続いていく おどりば を近くで見ていきたいと思っています。最近はラジオも始めたし、ほかにも住人の方々となにかやっていけたら嬉しいです。

次の踊り場が見えてきた頃に、自分で自分の入居手続きをすることでしょう。何年後になるかわからないけど、またそのときまで。

 

 

ハタコシ

おどりばの大家です。深層の想いをともに捜しに。

プロフィール

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  1. あかっぱ

    ハタコシさんたちがつくってくれたこの おどりば が、ぼくにとっても、はたしかに、月に1度、立ち止まって考える、「場」として、ぼくのなかでも位置づいています。

    ハタコシさんのように、自分の心に素直に、去り際を見つけられるかわからないですが、ぼくはもう少しこのまま居させてもらいます。

    管理人室で、またお会いしましょう!