誰のせいでもないなんて
住人
地球が泣いている
先日の大雨のあと
畑の野菜を見に行くのには少しばかり勇気がいった
雨に打たれて潰れてしまったり割れてしまった
熟したトマトたち
長雨に打たれて
痛かっただろう
辛かっただろう
苦しかっただろう
.
.
地球が泣いている
.
野菜の値段が上がる
わたしたちは不満をいう
.
温暖化による異常気象は今後珍しくもなくなるという
わたしひとりがエシカル消費を心がけてみたって
なにも変わらないかもしれない
それを発信したところで
お金に余裕があっていいねと笑われるかもしれない
そうじゃない
そんなことないのに
そうじゃない
そんなことないのに
わたしたちを守ってくれている地球は
わたしたちに守られてやいない
地球が泣いている
わたしたちはツケを払う
.
.
誰のせいでもないという
わたしたちは繰り返す
.
だめになってしまった野菜を片付けて
草をむしった
トマトを抱えて家路につく
.
たっぷりの日の光を浴びたトマトと
味付けは塩だけの
ことことと煮込んだ
とびきり甘い、極上のスープ
こんなに贅沢なことはないのに
ひとくち飲んで苦しくなって
なにもできない自分を責めて泣いた
人間様だ、と思って泣いた
その夜
本棚から
ヒトニツイテ
を手に取った
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