普通を押しつけても無駄だ

住人

「俺、精神病なんですよ」なんて、竹原ピストルが歌っているまんまに、平気でカミングアウトしまくりのわたしは間違いなく精神病。何回だって書いてやる。平穏で平静に見えて異常に異常、気が狂ってる。先日のオープンマイクで叫びながら朗読してたら、脳の血管がぷつりと切れるように、自分内スイッチがぶち壊れて、理性を失った。あれは発狂して窓ガラスにマグカップを投げた時と同等の理性喪失。人に危害を加えなくて良かった。乱暴にマイクを掴んだだけで済んで何より。でも、明らかに観客のみなさんはドン引きしていて、今思うと爆笑。おかしかったな、やっちまったな。ステージで何を読んだのかも忘れた。途中で暗唱していた詩をすっぽり忘れたのは、鮮明に覚えてるけど。あれは悔しい。

でも、そうやって朗読で叫んだり、時には暴力的な行為に及んだりして、自分が壊れるのを防いでいるんだな。狂人の一歩手前です。そんなわたしをかわいそうと思わないで。以前働いていた会社で「なかがわさんって結婚されてるんですね!」って驚かれたのは、≪精神異常者が結婚できるわけない≫という偏見からに違いはなくて。鈍感でもわかるよ、それくらい。かわいそうだって思うなよ。「変わってるな」って思うだけにしろよ。人並みに幸せです。中2の娘もかわいいです、父の病気を理解し、それでも屈託なく話しかけてくるいい娘です。妻は自殺未遂や失踪を繰り返したわたしをいまだに愛してくれてるのヨ、惚気。3人の猫たちは、それぞれ、気まぐれにわたしに懐いて来て、憎めない。長生きしろよ、わたしも生きるからネ。

最近始めた、≪躁鬱のチェックシート≫。毎日、書き込む。以下の項目にレ点が入ったら、注意。躁項目が10項目、鬱項目が9項目。

躁部門:
〇30分で書き物を中断できなかった
〇水泳を800m以上してしまった
〇スケジュール調整を即断即決してしまった
〇「なんとかなるか!」で散財してしまった
〇アイデアが次々とあふれ出て来た
〇歩きすぎた(8000歩/70分まで)
〇イライラすることがあった
〇サウナに無理して入った
〇喋りすぎた
〇起床/就寝時間が大幅にズレた
鬱部門:
●お酒適量守れなかった(500ml・5%・1本)
●前日よりも500g以上体重が増えた
●家事が面倒に感じた(洗濯、調理、皿洗い)
●理由のわからない不安感があった
●友人からのLINE、TELが億劫だった
●起床/就寝時間が大幅にズレた(躁と重複)
●生活訓練所(☞)に行くのに気力を使った
●何もやる気が起きなかった
●夜に叫んで起きた
☞=精神病のことを勉強する施設。ストレスとの付き合い方や、コミュニケーションスキルを高めたりするところ。また週に一回カウンセリングを受けられる。

これらに毎日毎日、わたしは熱々の鉄板の上で踊りながら、向き合い、セルフモニタリングして生きている。ひとつでもチェックが入ったら、躁鬱のサイン。用心深く生きねば。氷の上をそろそろと歩かなきゃ。不自由だ、窮屈だ。自由ってなんだ?! でも、やっぱりかわいそうだなんて思わないでほしい。精神エラーが普段のわたし。ごめんなさいネ。

話は変わるようで関係あるのだけれど、数ヶ月前、最近の若者は大学のオンライン授業も、インターネット番組も、そして映画でさえも倍速で見るんだって話題になったよね。正直、閉口してしまった。若者に? いやいや、メディアやわたしたち大人の代表たちに。そんなの若者の勝手じゃん。自分たちの感性を押しつけるな。「最近の若いヤツは」ってどこかで聞いたようなことを、石器時代から言ってんじゃねえよ。変わるのが怖いんだ、多分。若さに飲み込まれるのが恐怖なんだよね、きっと。大人たちは自分の≪普通さ≫を変わらないものだと思い込んでる。「お前も変わったな、少し丸くなったよな」だなんて言われるのを何よりも恐ろしく感じている。大人たちって、まあ、わたしも含まれるのかな。彼ら/彼女らには、倍速が当たり前なんだから、その感性をそのまま抱き止めろ、大人。何を言われても倍速で生きろよ、若者。

≪普通って何?!≫ってよくある話で、まとめようネ。普通なんかねえんだよ。あるのは≪個性的な普通≫なんじゃねえか。「あの人、変わってるね」って言われても自分を曲げないで生きたい。自分は自分の中で普通でありたい。その上で≪普通≫に抗いたいな、矛盾。

なかがわ よしの

生涯作家投身自殺希望。中の人はおじさん。早くおじいさんになりたい。

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