p18:ブルー、オレンジ、ブルー。

住人

22年2月28日から3月5日までの、私のひとりごと。荒削りで綺麗でもなんでもない、日々の記録。

220228

夜中に恋人からの電話で目が覚めて、そのまま眠れなくなってしまったので日記を書こうと思った。

仕事を辞めて東京を離れてから、心が空っぽになってしまった。初めて「社会人」をやれて、それなりに結果を残せて、やりがいもあった。何より憧れの東京で暮らす夢のような時間が、私にとっては相当大切なものだったらしい。

空っぽになった心を埋めるためのものを探したくても、一度立ち止まったら動き方が分からなくなった。あれ、すごく胃の中が気持ち悪いな。気がつけば日が傾いている。

適応障害によってうつ状態になっていますね。と言われた。しばらくは休んでください、と。休んだ先に、私の未来はありますか?汚れてしまった履歴書を見て、苦言を呈されて、それでもなにかそれっぽい理由を述べたら、いつかもう一度働けますか?もう、ずっと休んでいます。もうすぐ、一年が経ってしまいます。本当に、休んでいていいんですか。私、怖いです。先生。

弟に、クズだねと言われた。東京から逃げてきて、何もせずに浪費ばかりして、クズだねと。事実だから、悲しかった。私が本気で落ち込んでからはあまり言ってこなくなったけど、確かに私は、クズなんだと思います。先生、休んでいたら、クズじゃなくなる日はくるんですか。

2月の頭に、前職の上司からメールが来た。東京を離れるときに送った挨拶のメールの返信だった。

ぶっきらぼうで怖いひとだったから上司としては少し接しづらい部分もあったけれど、尊敬している人だった。

「退職が惜しいと思ったのは、君を含めて二人だけ。

昔の俺の上司と君。

性格的にまったく先輩らしいことできなかったけど、ひそかに期待してたから、残念。

まあ、しょうがないな。

その腹黒さと、絶妙にフランクに会話できるコミュ力があれば、どんな環境でもリスタートできると思うから、頑張れ。

元気になって、東京来たときは連絡してくれ。一回くらい飲みに行こう。」

本当に尊敬していた。誰よりもつくるものにこだわっていて、つくるものにこだわるためにデザイナーさんやお客さんとのコミュニケーションを大切にしている人だった。私は、この人みたいに働いて、この人みたいなものを作って残したいと思っていた。

できなかったなあ、悔しいなあ。という気持ちと、そんな先輩に「退職が惜しい」と思ってもらえていたことが嬉しい気持ちが、ぐちゃぐちゃに混ざって、ぽろぽろ泣いた。

ああ、元気になりたいな、と思った。元気になって、この人に話せる「手土産」を持って、会いに行きたいなと思った。会いに行ける自分になりたいと思った。

そう思う気持ちとは裏腹に、まだ身体は動かないのだけれど。未来のことを考えると不安に押しつぶされそうになるけれど。このメールをお守りにして、少しずつ立ち直っていきたいと思う。

(でもやっぱりむり…ってなる日もある。)

220303

何日かに一度、なんだか調子がよくない、という日がある。今日がまさにそれ。というかここ数日はずっと心のどこかがモヤモヤしていて、元気とは言えない状態だった。

先日チームパイロットの人たちと久しぶりに哲学対話をして、「さみしさ」について考えた。さみしさはむなしさ、さみしさは娯楽、さみしさは自分がどうありたいかを考える時間、さみしさは余白―

さみしさは余白。暇な時間はさみしさをつくる。私にはずっと時間があって、だけど何もしたくない。暇ならやるべきことに手をつければいい、分かっているのに、何もしたくない。クズだ。こうやってまた、自分を責める時間が始まる。

ノートを広げて、ときどき自分のしたいことに向き合えるようになってきた。だけど、それ以上は進めないでいる。私って、この先どうなるんだろう。

だめだだめだ、考え始めると不安になる。

働けないなら働かなくていい、働けるようになるまで休めばいい、そう言われても救われない。不安が膨らんでいくだけ。

モヤモヤする。何もしていないくせにちゃんと疲れている。なんでだろう。

新しい服が何着か届いて、袖を通した。すこしだけ、心が揺れる。でも我に返って元に戻る。これの繰り返し。

外に出るための服がどんどん増えていく。人に会うための服がどんどん増えていく。外に出る機会は減っているというのに。

お金を貯めたい。でもできない。仕事をしたい。でもできない。ただ逃げているだけだと思う。そんな自分を毎日嫌いになっていく。

最近同じことばかり書いているな。停滞している。

仕事を探せるか、とか、お金を貯められるか、とか、できるか分からないけど、できることから少しずつしないと、どんどん動けなくなっていくと思う。私は、前に進みたい。

220305 blue hour

薬の副作用で、明け方に目が覚めてしまうので日記を書く。昨日のはなし。

昨日は祖母から逃げたかったので15時頃に家を出て、郵便局で用事を済ませてから、駅前で時間をつぶした。

人に会うわけではないのが残念だけど、久しぶりに駅前まで行けるのできちんと服を選んだ。新しく買ったニットのようなゆったりコートと、かわいい模様のついた大きなニット、マーメイドスカート。ぜんぶ茶色やベージュの「淡色コーデ」にした。ゆったりコートにはポケットがついていなかった。不便だ。

駅前の喫茶店で、アイスウインナーコーヒーを頼んだ。何回来ても、店員さんが塩対応すぎてひとりで過ごすにはすこし居心地が悪い。でもおいしいからときどき足を運んでしまう。

閉店時間が近づいてきたので喫茶店を後にして、駅ビルで時間をつぶした。淡い色の服を取り扱うアパレルがあって、なんとなくいつも吸い寄せられてしまう。今日も立ち寄ったら、スマホ用のちいさなショルダーバッグを見つけてしまった。これは運命だと思い、購入した。色がぜんぶかわいくて迷っていたら、ブラウンならどの色でも合わせやすいですと店員さんがアドバイスしてくれた。

そのあとショルダーバッグの写真をツイッターにあげたら、先日誕生日だった友達がとてもかわいいと言ってくれたので、同じものをあげることにした。色も同じ。おそろい、うれしいな。

久しぶりに出かけたからか、顔や服装のコンディションがよかったからか、今日の午後はいい気持ちで過ごせた。少しずつ自分の機嫌のとり方を取り戻していきたい。

220305

ももちゃんに誘われて1166のイベントに行ってきた。スタッフとして動くももちゃん、歌うももちゃん、柔らかい表情と言葉でその場にいる人たちと話すももちゃん。全部かっこいいと思った。ももちゃんに対して劣等感を感じた。

ももちゃんは昔から友達がたくさんいて、歌も上手で、やりたいことにはなんでも手を伸ばす行動力がある。若い頃は、私が先輩で、塾の先生で、尊敬してもらっていて、なんとなく、隣に並べる感じがした。あの頃だって、ももちゃんはずいぶん大人びていて、すごかったんだけど。だけど今はどうだろう。私、ももちゃんの隣に並べないなって思った。

あの場所に来ている人が、馴染みの人たちが、「何者かになろうとしている」 「何者かである」と思った。今の私は、どちらでもない。歳をとるにつれて、人見知りがひどくなっていると思ったけど、これはたぶん違う。「気おくれ」だ。私は、彼らに気おくれしたのだと思う。

声をかけてくれた人には、今は何をしてるの?と聞かれた。答えるのは少しつらかった。うまいはぐらかし方をまだ知らない。

だけど、前の仕事について聞かれたとき、自分の身体に熱がこもるのを感じた。首もとが汗ばむのを感じた。

私は、あの仕事に誇りを持っていたし、好きだったんだと思う。だから、諦めたくないんだと思う。私はまだ、何かをつくる仕事がしたい。

気おくれしてしまったけれど、自分の気持ちがすこし見えてよかった。時間はたくさんある。こんなイベントに、勇気をだして飛び込んでいきたいと思った。

うめこ

すごい人になりたかった人です。

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